■回答と解説■砂糖 関連国☆コモディティクイズ

問1:砂糖の生産国の正解は…

出所:USDAのデータをもとに筆者作成

[解説]

1位ブラジル(21.7%)、2位インド(15.0%)、3位EU(10.9%)でした。

「コロンブス交換」と「三角貿易」(次のレポート参照「コーヒーは世界をめぐる!ティータイム銘柄で知る面白世界史!」で生産が始まり拡大したブラジルや、サトウキビの原産国付近のインドの生産量が多くなっています。インドも大航海時代以降、ヨーロッパ列強の植民地として砂糖の生産が盛んになりました。

 ブラジルもインドも、国土が広いこと、サトウキビの生産に適した気候であること、(以下の輸出量の箇所にも関連しますが)自国の重要な輸出品目であること、多くの人口を抱える自国の消費に対応することなどが、現在も世界屈指の砂糖生産国である理由と考えられます。

 EUが3位になっていますが、こちらはテンサイ由来の砂糖です。テンサイ由来の砂糖の生産が盛んになったのがヨーロッパだったこと、テンサイが寒冷地でも育つ植物であること、域内の消費を満たすことなどが、EUでの砂糖生産量が多い理由であると考えられます。

 砂糖の生産国の上位は、おおむねサトウキビとテンサイの生産国の上位にあたります。以下のサトウキビとテンサイの生産国ランキングの解答もご参照ください。

 

問2:サトウキビの生産国の正解は……

出所:FAOのデータをもとに筆者作成

[解説]

1位ブラジル(40.7%)、2位インド(18.4%)、3位中国(6.5%)でした。

 ランキング上位国は、北緯・南緯30度以下の暖かい地域の国が多いです。国土が広い中国は南部で生産されていると考えられます。

 ブラジルではサトウキビからエタノールを作る動きが活発です。ブラジルにとってサトウキビを生産する目的は砂糖を作ることだけではないことが特徴です。ブラジルは世界屈指のエタノール生産国・輸出国であるためエタノール大国と言われています。

 ブラジルではエタノール100%でもガソリン100%でもそれらの混合でも走行可能な《フレックス車》が走っています。

 

問3:テンサイの生産国の正解は…

 出所:FAOのデータをもとに筆者作成

[解説]

1位EU(40.0%)、2位ロシア(18.5%)、3位米国(12.1%)​でした。

 ウクライナなどを含めれば、世界の60%以上が欧州からロシアにかけた地域で生産されています。中国はサトウキビでもランクインしましたが、テンサイは中国の中でも緯度が高い地域で生産されていると考えられます。

 

問4:砂糖の輸出国の正解は…

出所:USDAのデータをもとに筆者作成

[解説]

1位ブラジル(47.9%)、2位ベトナム(タイ13.9%)、3位オーストラリア(6.0%)​でした。

 ブラジルの量は2,960万トン(2017年)です。これは以下に示す世界の輸入国の上位10カ国の輸入量の合計をカバーする量です。

 輸入は、多くの場合当該国の生産で追いつかいない量を補うために行われていると考えられます。その意味では、ブラジルの生産量が減少したり、ブラジル自体の消費量が急拡大したりした場合、輸入国の多くで需給がひっ迫する可能性があります。

 また、生産国4位のタイが輸出国2位にランクインしています。生産量の76.5%が輸出に回されている計算になります。タイにとって砂糖(サトウキビ由来)は重要な外貨獲得手段であると考えられます。

 

問5:砂糖の輸入国の正解は…

出所:USDAのデータをもとに筆者作成

[解説]

1位インドネシア(8.5%)、2位中国(7.8%)、3位米国(6.3%)でした。

 1位のインドネシアですが、以下で触れますが、世界6位の消費量です。比較的大きな規模の消費量にあって輸入が世界1位であるわけです。

 このインドネシアの砂糖の輸入依存度(輸入量÷輸出量)は、およそ67%でした。消費の半分以上を輸入に頼っていることになります。

 一方、輸入2位・3位の中国・米国ですが、ともに輸入依存度は30%以下と、比較的自国で賄うことができている状況です。

 インドネシアにない、中国と米国の共通点は、国土が広いこと、そして国土が広いことによって国内の低緯度地域でサトウキビを、高緯度地域でテンサイを生産できる点が上げられます。

 中国はサトウキビ生産3位・テンサイ生産9位、米国はサトウキビ生産10位、テンサイ生産3位です。このような広い国土を利用してサトウキビとテンサイを両方生産できる点は自国の大量消費に適した環境と言えます。

 一方、インドネシアは国土のほとんどが赤道直下の熱帯地域であるため、サトウキビが中心の生産となっています。テンサイの生産上位国50位にランクインせず。サトウキビは11位。
 

問6:砂糖の消費国の正解は…

出所:USDAのデータをもとに筆者作成

[解説]

1位インド(15.2%)、2位EU(10.7%)、3位中国(9.1%)でした。

 まさに「人が集まるところに砂糖の消費あり」、ということが分かるランキングですが、特に1位のインドについては、人口の多さ以外に加えて食文化も関わっていると考えられます。

 ナン(小麦粉を練って伸ばして焼いた主食となるもの)、チャイ(インドで飲まれるミルクティー)、ジャレビ(揚げ菓子)など、身近な食べ物にたくさんの砂糖が入っていると言われます。

 インドあるいはインド以東が砂糖の発祥の地と言われることや、ヒンズー教においてお菓子の消費が増えるお祭りがあることなど、伝統的に砂糖が食されてきたという背景があります。

いかがでしたでしょうか。

砂糖に関連する国を見てきました。身近な調味料であり、わたしたちの食を楽しませてくれるだけでなく、近年では美容と健康の分野でも注目が集まっています。

砂糖のことを知る上で、関連国を知ることは非常に重要かつ有効であると思います。