・今回は「砂糖」に関連する国について解説します。
・複数のヒントをもとにクイズにトライして、砂糖の基礎知識を身につけましょう。
今回は「砂糖 関連国」に注目
前回はコーヒーの生産国に注目しましたが、今回は、同じ農産品の砂糖について、生産国・輸出国・輸入国・消費国の状況を探ります。
砂糖の《甘さ》が人を楽しませる役割を持っていること、そしてその砂糖を楽しむ人(人口)が世界的に増加傾向にあることは、今後の砂糖市場を考える上で重要だと筆者は考えています。
また、砂糖は、コーヒーと同様「CRB指数」(シーアールビーしすう。1957年に米国のCommodity Research Bureau社が開発)という、コモディティ価格の大まかな流れを示す指数を構成する重要な銘柄の一つとなっています(現在、東京商品取引所での取引は行われていません。上場復活が期待されます)。
砂糖の歴史と分類
レポート「コーヒーは世界をめぐる!ティータイム銘柄で知る面白世界史!」で書いた「コロンブス交換」において、旧大陸(ヨーロッパ・アフリカ・アジア)から新大陸(アメリカ)に渡った品目の中に《サトウキビ》を見つけることができます。
大航海時代以降、インド以東が原産といわれるサトウキビは大西洋を渡り、アメリカ大陸にて盛んに栽培されるようになりました。本レポートで示す「砂糖の生産国」の上位ランキングには、アメリカ大陸(北米・中米・南米)に属する国を複数確認できます。
サトウキビは大西洋を渡る前、地中海沿岸でも生産されていましたが、アメリカ大陸での大生産がはじまった後に衰退しました。しかし、現在は、サトウキビと同様、砂糖の元になる《テンサイ(甜菜)》の栽培がヨーロッパで行われています。
《テンサイ》由来の砂糖が作られるようになったのは、1806年にフランスとその同盟国の支配者となったナポレオン1世が、産業革命に沸くイギリスをけん制するために行った大陸封鎖(ベルリン勅令)により、イギリスによるアメリカ大陸からヨーロッパへの砂糖の輸入が一時中断したことが要因と言われています。
《テンサイ》は、見た目は大根やカブのような植物で、サトウダイコンとも呼ばれます。暖かい地域で生産されるサトウキビと異なり、寒冷地で育つ作物です。寒冷地での栽培が可能な点はヨーロッパでの栽培拡大の大きなポイントになったと考えられます。
サトウキビとテンサイの栽培地については、日本をイメージするとわかりやすいです。サトウキビは主に沖縄県や鹿児島県の諸島部(北緯25度から30度、サトウキビの主要生産国のインドの北側に相当)で生産されています。一方、テンサイはほとんどが北海道(北緯およそ44度、テンサイ主要生産国のフランスの南部に相当)で生産されています。
サトウキビは大きくなれば高さ3メートル程度にもなる細長い植物で、テンサイは土の中に根差す植物です。見た目は似ても似つかぬ植物ですが、細かく砕いたり絞ったりした汁を煮詰めて遠心分離機にかける工程により、どちらからもほとんど差異のない砂糖が作られます。
スーパーマーケットなどで売られている砂糖のパッケージに書かれている原材料名にサトウキビ由来かテンサイ由来かが書かれている場合があります。
暖かい地域でのびのびと育ったサトウキビから作られた砂糖なのか、寒冷地の土の中でたくましく育ったテンサイから作られた砂糖なのか、原材料名の表示で判断がつきます。
店頭で砂糖を見かけた際、注目してみると面白いかもしれません。