ニュージャンルの台頭でモバイルゲーム市場が拡大、大手2社が他を圧倒

 市場調査会社QuestMobileの調査によると、中国のモバイル・インターネット人口が2018年1~3月にモバイルゲームに費やした時間数は、合計428億時間に達した。前年同期比では32.3%増と、17年4~6月以来の高い伸び。BOCIはゲーム利用時間が大きく増えた要因として、◇新たなゲームジャンルが台頭。特にサンドボックスFPS(一人称視点のシューティングゲーム)や「微信ミニゲーム」が新規ユーザーの獲得に寄与し、ゲーム人口が拡大した◇利用者全体の性向がライトユーザーレベルから、中級あるいはヘビーユーザーにシフトした、◇旧正月休暇(2月15~21日)がチームプレー系などのゲーム利用時間の拡大を後押ししたの3点を指摘している。

 一つ目の点に関してQuestMobileのデータを見ると、モバイルオンラインゲーム全体の1~3月のMAU(月間利用者数)は前期比17.3%増、前年同期比9.6%増の7億5,700万人。うちテンセント(00700)の2つのPUBG(プレイヤーアンノウンズ・バトルグラウンズ)のMAUは計1億3,900万人に上った。また、テンセント経営陣によれば、「微信ミニゲーム」では1日当たり利用者数の22%を新規のゲーム利用者が占めたという。

 1~3月には全体のゲーム利用時間が大きく伸びたが、BOCIは全体の売り上げ規模の伸びは相対的に鈍かったとみている。一部ユーザーが、よりARPU(利用者1人当たり月額収入)の低いサンドボックスFPSに流れたことが理由という。

 国内モバイルゲーム業界の競争環境に目を向けると、大手2社、テンセントとネットイースがさらにシェアを拡大しており、18年3月にはこの2社が初めて、iOSの売り上げランキングトップ10をすべて分け合った。ジャンル別では、競争力の高いカジュアルゲームやFPSが売り上げランキングで順位を上げた。

 中国のモバイルゲームプラットフォームは現在、ソーシャルネットワークやアプリストアのグーグルプレイなどが中心だが、BOCIは今後、オンラインゲームのライブストリーミング・プラットフォームの重要性が増すとの見方だ。この点から同プラットフォーム「闘魚」「虎牙」を展開するテンセントが、MOBAやFPSの分野で首位の座を固めるとみている。これに対抗するネットイースはeスポーツ・エコシステムの構築に10億元、ライブストリーミング分野の提携にさらに3億元を投じる計画という。

 個別銘柄では、BOCIはテンセントをオンラインゲーム銘柄のトップピックとしている。モバイル市場における一段のシェア拡大に加え、広告収入やその他収入(主にモバイル決済業務)の力強い伸びが理由。また、IGG(00799)に関しては現在株価の低バリュエーション(18年予想PER8.2倍)を指摘し、テンセントと同様、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。一方、ネットイースについては中立的。モバイルゲームジャンルの多様化という点で遅れを取っていることや利益率の縮小などがその理由。