息子を使った小実験

 さて、本書を企画したさいに、編集者のリクエストは、「お金についての考え方とノウハウをコンパクトに凝縮したやさしい本を書いて下さい。20年後にも古くならない、子どもや新社会人に贈りたくなるような本です!」というものだった。加えて、筆者は、「おわりに」に、「自分の子どもも含めて、今の子どもや若者たちに、お金について本質的な内容を伝えておきたいと思ったのが、本書の執筆動機です」と書いている。

 そこで、このさい有言実行してみようというわけで、自分の中学校1年生の息子に拙著を読ませて、質問・感想を話させて、さらに理解度をチェックしてみることを思い立った。

 息子に、「後で、質問と感想を聞くから、しっかり読め」と指示して拙著を渡した。だいたい80分くらいで読み終わった。

 内容に関しては、そもそも「運用の俗説」を知らないので、俗説を批判した箇所がわかりにくかったり、FP(ファイナンシャル・プランナー)という職業を知らなかったりする点で、理解が難しい箇所があったと言う(FPは、たぶん警戒しなければならない怪しい職業だとは感じたらしいが)。これらの点については、著者である父親が、本の製造物責任を取って説明した。

 一方、貯蓄率を計算する公式や(中学入試の受験勉強で分数の計算はできるようになっている)、手数料の高いファンドがダメであること、借金には「良い借金」と「悪い借金」があることなどは、おおよそ理解していた。

 その他、あれこれ質問してみたが、7割以上は理解してくれたのではないか、という印象だった。

 著者としての理想かつ希望は、世間の親御さんが拙著をまず読んでくれて、次に拙著を息子さん・娘さんに渡して、親子で「ここに書いてあることは、どういうことか? 本当に正しいのだろうか?」と論じあってもらうことだ。小さな本の割には、豊富な題材があるので、お役に立てると思う。

 最後に、「トウシル」読者への追加サービスとして、拙著の冒頭で述べた、お金に関する3つの結論をご紹介しよう。

  1. お金は人生の自由を拡大する手段だが、あくまでも手段に過ぎない。
  2. お金は、たんたんと合理的に扱うといい。
  3. お金の運用は、他人(プロを含む)に任せるよりも自分で行う方が簡単であり、安心でもある。

 いかがだろうか?