初心者にもできる「株主優待」攻略術・実践編の今回は、少ない資金でも使い勝手のいい株主優待を得るためのテクニックをご紹介します。

魅力的な株主優待を選ぶ

 株主優待に何があるのか調べるとき、有名企業の株主優待はメディアでも紹介されることが多いので、投資初心者も興味がひかれるでしょう。

 しかし、一般的にはそれほど名の知られていない企業の中にも、その企業独自の株主優待があり、調べてみるだけでもおもしろそうです。

 一例を挙げてみましょう。

企業名 株主優待
ヤマウラ(1780) 3,000円相当の地場商品
東武住販(3297) 2,000円相当の下関の特産品
DIC(4631) 川村記念美術館の入館券付き絵葉書2枚と自社グループ商品

 他にも「株主優待 ユニーク」と打ち、検索サイトで探すと、おもしろい株主優待を提供している企業がさまざまに出てくるので、確認してみてください。

 

必要投資額が低い企業が狙い目

 投資初心者の場合、決して少なくない資金で投資することに抵抗がある人も多いかもしれません。

 実際、ディズニーリゾートのパスポートを株主優待でもらうためには、オリエンタルランド(4661)の最低単元株数を100万円以上の資金で買わなければならないなど、初心者の投資先としては少々ハードルが高いもの。

 そこで、少額でも株主優待をもらうことができる銘柄を探してみてはいかがでしょうか。10万円、5万円程度でも株主優待をもらうことができる銘柄が意外にたくさんあります。
たとえば、運営するカジュアルレストランで利用できる優待券を出すきちり(3082)やふぐ料理を提供する自社店舗で利用できる食事優待券を用意する関門海(3372)、化粧品セットを出すフォーシーズホールディング(3726)、購入割引券を用意するヤマダ電機(9831)などは比較的、投資資金が少なくて済む銘柄です(2018年3月6日現在)。

 

100株保有を最大限活用。そしてリスク分散

 ところで、株主優待を得られても、株価下落リスクはどうしても生じます。このリスクを避けるためには、少ない資金で買うことのできる銘柄に、最低単元ずつ複数分散して投資をすることが有効です。

 リスク分散の重要性を伝える有名な投資格言「1つのカゴに卵を入れるな」もあるほどです。

 また、買う株数を増やすと配当金もそれに比例して増えますが、株主優待の場合、一概には増えるわけではないので、「最低単元ずつの投資」は理にかなっているのです。
では、「よく利用する店舗だから、株主優待が多く欲しい。でも資金が足りない…」。こんな場合はどうすればいいでしょうか。

 実は一つテクニックがあります。

 吉野家ホールディングス(9861)を例に挙げてみましょう。

 吉野家ホールディングスの優待は100株で3,000円分の優待食事券をもらえ、1,000株保有になると6,000円分に増額します。

 ただ、100株保有なら19万6,300円の資金で済みますが、1,000株になると196万3,000円の資金が必要になります。優待金額が2倍になるのはうれしいですが、必要資金が10倍必要になってしまうのです(2018年3月6日現在)。

 そこで、家族ひとりひとりの名義で証券口座をつくり、欲しい優待株を100株ずつ保有するのです。極端な話ですが、仮に家族10人で吉野家ホールディングスの株を100株ずつ買うと、3,000円分の株主優待を10人分(3万円分)もらうことができます。一人で1,000株投資する場合は6,000円分ですから、もらえる株主優待相当額の合計に大きな差がつきます。

 

同じ優待でも必要額に大きな差が

 クオカードやカタログギフトなどは株主優待の額面は同じでも、その優待をもらうための投資額に大きな差がある場合があります。

 たとえばカタログギフト3,000円相当を優待に設定している例としては下記のような企業が存在します。

銘柄名 カタログギフト3,000円相当を得るための最低必要額
みちのく銀行(8350) 17万9,800円
ヒューリック(3003) 35万9,100円
芙蓉総合リース(8424) 69万6,000円

※2018年3月6日現在

 このように株主優待を選ぶときは、同じ内容でもより資金を少なく購入することができないか検討することも重要です。

 今回は、資金が少ない個人投資家に向けた優待投資のテクニックなどをまとめてみました。それほど資金がないという人もやり方次第で、優待目線で投資を楽しむことができるので、積極的に活用してはいかがでしょうか。

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