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『VIX指数』とは「Volatility Index」の略称で、株価の変動性の予想を示す指数です。米国株の代表的指数の一つであるS&P500指数を対象とするオプション取引の価格を基に、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出・公表しています。『VIX指数』は、15年後半から18年初まで低水準で安定的に推移してきましたが、米国金利上昇への警戒感から2月には米国株が大幅下落し、『VIX指数』は大きく変動しました。
【ポイント1】「恐怖指数」とも呼ばれる『VIX指数』
株価下落局面や、景気の先行き不透明感が強まる際に上昇する傾向がある
『VIX指数』は、市場参加者がS&P500指数の今後1カ月間の変動をどのように予想しているのかを示す指数です。『VIX指数』は、株価の下落局面や、それにつながる景気の先行きに対する不透明感が強まる場合など、不安定な市場環境下で上昇する傾向があります。このため、『VIX指数』は「恐怖指数」とも呼ばれています。一方、株価の上昇局面や、景気の見通しが安定している場合には、同指数は低下または低水準で安定的に推移する傾向があります。
【ポイント2】急速な金利上昇への警戒感から、『VIX指数』が急騰
賃金の上昇加速などが背景
米国株はこのところ上昇傾向が続いていたため、『VIX指数』は15年後半から18年初にかけて、10を下回るなど安定的に推移してきました。
ところが、『VIX指数』は1月下旬から上昇を始め、一時37を超えました。これは、急速な金利上昇を受けて米国株市場が調整したためです。この背景には、世界的な景気の上振れや原油価格の上昇、インフレへの懸念の高まりがあります。特に、米国で賃金の上昇加速を示す統計が発表されたため、米国を中心に長期金利上昇の見方が強まりました。
【今後の展開】堅調な経済成長を背景に、『VIX指数』は再び落ち着いた水準へ
米国株は2月に入って大幅に下落した後、約1週間で落ち着きを取り戻し、再び上昇しています。国際通貨基金(IMF)が予想するように、米国経済は堅調に推移すると見られるため、企業業績は増益が続くと考えられます。また、賃上げやインフレの上昇は緩やかなものにとどまると見られるため、利上げはゆっくりと進められると見込まれます。予算権限の引き上げ法案が可決したことから財政赤字の悪化懸念が高まり、米ドル安が進行し、米国金利は再び上昇しているものの、堅調な経済成長を背景に米国株は上昇トレンドに戻り、『VIX指数』は再び落ち着いた水準になっていくと考えられます。