目先は上値が重そうな銀相場は、長期的な視点で見守る
銀相場の上値が重いのは、銀の消費量が伸び悩んでいることが背景にあると見られます。
図3は、銀相場の推移です。
図3:銀相場の推移 (CME銀先物 中心限月 月間平均)
銀価格の国際指標と言われるドル建て(価格の単位がドル)の銀価格は、2014年のソチ大会から2018年の平昌大会にかけて、緩やかに下落しています。この下落が、ソチと平昌の銀メダルの物質的価値に影響したと見られます。
大局的に見ると、ソチ大会が開催された2014年の時点で銀は、2011年半ばからの下落の最中にあった、ということになります。
図4は世界全体の銀の需要と供給の推移を示したものです。
図4:銀の需要と供給の推移
2012年ごろから、需要の伸びが鈍化していることが見てとれます(供給はほぼ横ばい)。
同じ時期に銀価格が下落・低迷しているため、需要の鈍化が下落・低迷の要因である可能性があります。
図5は銀の需要を用途別に見たものです。
図5:銀の用途別の消費量
工業用の消費が緩やかに減少していることが、図5からわかります。工業用の消費は消費全体のおよそ54%を占めるため、このカテゴリの減少は銀の消費全体を押し下げる要因となります。
工業用の消費における用途とその割合は、電気機器・電子部品(41.6%)、太陽電池関連機器(13.6%)、ろう材・はんだ(9.9%)、写真のフィルム(8.0%)、エチレン・オキサイド(1.8%)、その他の工業用(25.1%)となっています(2016年時点)。
最も割合が大きい電気機器・電子部品の2016年の消費量は、直近のピークとなった2010年に比べて12%減少となりました。大きく需要が落ち込んだリーマン・ショック直後の2009年の水準に接近しています。
また、太陽電池関連機器の消費量の割合は2番目に高いものの、まだ年ごとの増減にばらつきがあり、銀全体の消費を底上げする力強さは見られません。
このような工業向け消費の減少傾向が、銀価格が大きく上昇しにくい状況を作っていると考えられます。
銀価格の動向は、オリンピックが開催される間隔のように2年、あるいは4年という長期的な視点で見守っていく必要があると言えるのかもしれません。
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