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『オフィスビル空室率』や平均賃料は、オフィスビル仲介大手の三鬼商事が、毎月中旬頃に公表しています。2012年には9%台であった空室率は3%程度まで低下しました。ただ、3%台と極めて良好な空室率にもかかわらず、平均賃料は緩やかな上昇にとどまっています。2018年は、7月以降に新築ビルの大量供給が予定されています。新築ビルの大幅な供給増を控え今後の空室率と平均賃料の動向が注目されます。

 

【ポイント1】『オフィスビル空室率』は3.07%

非常に良好な水準

 2月8日に発表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の1月の『オフィスビル空室率』は、前月比▲0.05%低下の3.07%と引き続き低水準となりました。空室率は、2012年6月の9.43%を直近のピークとして低下傾向にあります。過去15年間(2003年2月~2018年1月)の平均値6.00%と比べても非常に低い水準にあります。

 1月は、新築ビル(竣工1年以内)や既存ビルで成約が進んだものの、新築ビルの一部が募集面積を残して竣工したため、全体では空室率は小幅な低下にとどまりました。

 

【ポイント2】平均賃料は49カ月連続の上昇

既存ビルを中心に緩やかな上昇が続く

 

 1月の都心5区の平均賃料は前年同月比+4.07%、前月比+0.86%の19,338円(坪当たり)と、49カ月連続で上昇し、2009年10月以来の高水準となりました。

 既存ビルの平均賃料は、前月比で+1.03%、前年同月比では、+4.66%の上昇、新築ビルは前月比で▲1.44%、前年同月比では、▲6.95%の下落となりました。新築ビルの平均賃料は、2017年4月に大幅に下落しましたが、その後はほぼ横ばいで推移しています。

 

【今後の展開】企業の根強い需要などが『オフィスビル空室率』を下支え

 東京のオフィスビル市場は、2018年7月以降は千代田区などを中心に大型の新築ビルが竣工予定です。大企業の好立地の新築ビルへのニーズは強く、大量供給される新築ビルの募集は順調なようですが、今後新築ビルへの移転に伴い既存ビルの空室率などに、影響が出始めると見られます。ただし、日銀による金融緩和政策が続く見込みであることから低水準の長期金利や、好調な企業業績を背景とした企業の根強いオフィスビルへの需要などが空室率の下支え要因になると考えられます。