ここで改めて資産運用のステージの構造を見てみましょう。

投資家は「自分はうまくいく」と思って運用しているけれども、「上がるとワクワクしてお金を投じて、下がると怖くなって踏み込めない、もしくは売ってしまう」という一喜一憂を繰り返し、うまくいかない。結果として、多くの人が第2ステージにいるように見えると前回、お伝えしました。

国際分散投資が良いと言われる理由はここにあると見ています。「自分でうまくやろうとしても難しいでしょう」「先を読んだり、タイミングを計ることは重要ではないんです」「ウォーレン・バフェット氏は特別。あなたには無理です」「だから先も読まず、タイミングも計らずに国際分散投資をするのがいいんですよ」ということです。

ご自身で先を読んだり、タイミングを計ったりしてうまくいかなかった経験があるので、「国際分散投資が一番」とここにスタンスを置いている人も多いでしょう。

国際分散投資をするなら押さえておくべきこと

国際分散投資をするなら押さえておくべきことお伝えしていきましょう。例として、インデックスファンドを通じて世界の株式と債券に分散投資(比率は原則として50%:50%)されている「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」で見てみましょう。

1、2年で判断しないこと

国際分散投資は「タイミングを計らない」が前提ですが、マーケットは上下しているので、投資信託の基準価額も上下しています。このため、1、2年で判断せず、最低でも景気の1サイクル以上、できれば20年、30年という期間で見ていく必要があります。

1、2年で大きく上昇していると「すごく良い投信」と思ったり、下落していると「この投信は良くない」と思って他のものに移りたくなったりするでしょう。これが一喜一憂です。うまくやろうとするのではなく、国際分散投資はもともと下がる時には下がるものだということを、しっかりと認識しておく必要があります。

パフォーマンスを過度に期待しないこと

国際分散投資は「先を読まない、タイミングを計らない」が根本的な考え方なので、当然、割安・割高の混在型になります。だから長期になればなるほどパフォーマンスは極端に良くもなく、悪くもない、そこそこなのです。

国際分散投資で「よーし、これで資産を殖やすぞ」と過度に期待をしていたら、下落した時に不満を持つことになるでしょう。そして、うまくやろうとすればするほど一喜一憂してしまうでしょう。長期ではもともとそこそこのものなんだ、それで十分なんだ、とあらかじめ割り切っておくことが必要です。

一喜一憂の心理から組入比率を変えないこと

国際分散投資をしていると、株式が上昇すると「もっと株式を組み入れておけば良かった」、下落すると「やっぱり株式は怖い、比率を減らしておこう」という思いが出てくるでしょう。それに従って組入比率を変えていったら、「高いところで買い、安いところで売る」を繰り返すことになります。組入比率を変えながらうまくやろうとするのではなく、そうすればするほど逆にうまくいかないんだ、ということをしっかりと認識しておくことです。

「国際分散投資はこういうものだ」と割り切ること

国際分散投資は一喜一憂を避けようとする手法ですが、人間なので一喜一憂してしまい、続けられないのです。ここにスタンスを置くと決めたのであれば、一喜一憂しようが貫くことです。

一喜一憂はすぐにします。例えば、送られてきた残高報告書を見た瞬間にです。見る瞬間ゾワゾワしたり、資産が殖えていれば「良かった!」、減っていれば「やっぱり運用なんて・・・」等、何らかの感情が出てくるでしょう。そして、その感情が私たちに「高いところで買わせて、安いところで売らせる」をさせるのです。

一喜一憂したら自ら認識し、その感情を横に置き、「国際分散投資はこういうものだ」と割り切ることです。そうでないと、あなたはすぐに第2ステージに行くことになるでしょう。

次回、いよいよ第4ステージについて見ていきましょう!