ファンドアナリスト吉井が楽天証券取扱いのMLP関連ファンドを解説!

2014年7月現在、楽天証券取扱いのMLP関連ファンドは9本ある。タイプ別に分けるとMLPを主な投資対象とするアクティブファンドが4本、インデックスファンドが2本。MLPのほか米国高配当株や米国REITに分散投資するファンドが3本ある。以下、タイプ別に説明しよう。

MLPに投資するアクティブファンド(4本)

野村アセットマネジメントが設定する「米国エネルギー革命関連ファンド」は、決算回数(毎月決算、年1回決算)と為替リスクの有無(為替ヘッジあり、為替ヘッジなし)で4本のラインナップがある。実質的な投資判断は、レッグ・メイソン傘下のクリアブリッジ・インベストメンツが行う。同社は、米国で45年以上の歴史を持つ株式運用に特化した運用会社だ。特に、MLPの運用では米国でもトップクラスの残高を有する。徹底的な銘柄分析に基づき、長期的な視点に立ち運用を行っており、ポートフォリオの回転率が低いのが特徴だ。ファンドマネジャーは、ボーナスの一部で自分が運用するファンドを購入しなければならないこととしており、投資家と同じ目線を持ちながらパフォーマンスの向上に努めている。当ファンドの直近のポートフォリオ(2014年5月末時点)は26銘柄に投資しており、配当利回りは年率5.0%程度と他社ファンドと比較して高い水準の利回りとなっている。

MLPに投資するインデックスファンド(2本)

  • インデックスファンドMLP(毎月分配型)
    ETN(指標連動証券)やETF(上場投資信託)を通じて、「S&P MLP 指数(円換算ベース)」の動きに連動する投資成果を目指す。連動対象となる「S&P MLP 指数(円換算ベース)」は66銘柄に投資しており、当ファンドのポートフォリオの配当利回りは年率4.05%(2014年6月末時点)となっている。インデックスファンドであることから信託報酬率は年率0.81%(税込)とMLP関連ファンドのなかで最も低い水準であることが魅力だ。
  • 米国エネルギー・ハイインカム・ファンド
    「SGI PGS MLP Top 20 Index」のパフォーマンスにより価格および償還価額が変動する米ドル建て債券(パフォーマンス連動債)に投資。連動対象となる「SGI PGS MLP Top 20 Index」は、配当成長率の勢い(モメンタム)の観点から厳選された上位20銘柄のMLPに均等配分する指数。信託報酬率は年率1.215%(税込)。なお、当ファンドが直接支払うことはないが、パフォーマンス連動債の管理費用として年率0.3%と3万米ドル(上限、年間)がかかり、当ファンドの基準価額に反映される。MLP関連ファンドのなかで唯一ノーロード(販売手数料無料)であることが魅力だ。

MLP、米国高配当株、米国REITなどに分散投資するファンド(3本)

三井住友トラスト・アセットマネジメントが設定する「アメリカ高配当株オープン」は、「LM・米国高配当株ファンド(適格機関投資家専用)」を通じて、MLPに40%程度、米国高配当株に60%程度の割合で分散投資している。「LM・米国高配当株ファンド(適格機関投資家専用)」を実質的に運用するのは、上述のクリアブリッジ・インベストメンツだ。

一方、日本アジア・アセット・マネジメントが設定する「米国・シェールMLP・高配当株ファンド」は、「LM・アメリカ高配当株ファンド(毎月分配型)(適格機関投資家専用)」を通じて、MLPに40%程度、米国好配当株に50%程度、米国REITに10%程度の割合で分散投資している。実質的な運用を行うのは、同様にクリアブリッジ・インベストメンツだ。

上記3ファンドはいずれもクリアブリッジ・インベストメンツが実質的な運用を行っているが、販売手数料、信託報酬率とも「米国・シェールMLP・高配当株ファンド」のほうが若干ながら低くなっている。あとは、分配金の支払い頻度で選ぶのが良いだろう。

<番外>今後取扱い予定のMLPファンド(2本)(8月15日取扱い開始)。

  • 米国MLPファンド(毎月分配型)Aコース(円ヘッジなし)
  • 米国MLPファンド(毎月分配型)Bコース(円ヘッジあり)

ドイチェ・アセット・マネジメントが設定する「米国MLPファンド(毎月分配型)」は、為替リスクの有無で2本のラインナップがある。実質的な運用を行うのは、ドイツ銀行グループのRREEF・アメリカ。同社は、MLPをはじめとしたインフラストラクチャー関連証券およびREITの運用に特化した運用会社だ。

MLPの魅力は、高い配当利回りと安定した成長性にあり、分散投資の1アイテムとして是非ともポートフォリオに加えてもらい資産クラスといえる。一方、どのファンドが運用力で優れているかといった観点では、設定からまだ日が浅いため、運用実績から判断するには時期尚早だ。運用の優劣がつかない場合のファーストチョイスとしては、運用コストが低いインデックスファンドを選ぶのがセオリーといえるだろう。あとは、共感できる運用方針であるか、決算回数は自分のニーズに合っているかといった観点で選ぶと良いだろう。

<楽天証券取扱いのMLP関連ファンドの運用実績>

ファンド名 運用会社 純資産総額(百万円) 1カ月
騰落率
3カ月
騰落率
6カ月
騰落率
1年
騰落率
米国エネルギー革命関連ファンド Aコース(為替ヘッジあり) 野村 7,865 5.01% 12.42% 13.55% 14.33%
米国エネルギー革命関連ファンド Bコース(為替ヘッジなし) 野村 67,824 4.66% 11.78% 10.30% 18.53%
米国エネルギー革命関連ファンド(年1回決算型)為替ヘッジあり 野村 221 4.99% 12.28% 13.31% --
米国エネルギー革命関連ファンド(年1回決算型)為替ヘッジなし 野村 1,702 4.66% 11.66% 10.57% --
インデックスファンドMLP(毎月分配型) 日興 32,570 6.90% 13.98% -- --
米国エネルギー・ハイインカム・ファンド リクソー 2,618 4.64% 10.36% 10.34% --
アメリカ高配当株オープン(毎月決算型) 三井住友TAM 729 2.81% 4.02% 2.79% 17.58%
アメリカ高配当株オープン(年2回決算型) 三井住友TAM 252 2.84% 4.10% 2.95% 17.81%
米国・シェールMLP・高配当株ファンド 日本アジア 3,349 2.60% 4.03% 3.06% --

(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成)