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『春闘』とは、春季生活闘争の略で、労働組合が賃上げなど労働条件の改善を企業側に求める労働運動のことを言います。その名称は、4月の年度始まりを前に労働組合が企業と交渉することに由来しています。例年、労働組合が2月頃に賃金水準の引き上げ「ベースアップ(ベア)」などの待遇改善を企業に要求し、3月末までの妥結を目指します。今年は政府が求める「3%の賃上げ」を巡る攻防が注目されます。
【ポイント1】安倍政権は「3%の賃上げ」を要請
アベノミクスによる経済の好循環の持続的な向上のため
賃上げには、年齢などに応じて増える定期昇給と、賃金水準を引き上げるベアの2つがあります。安倍首相は、1月5日の経済3団体の新年祝賀会で「3%の賃上げ」を求めました。企業収益が最高益を更新し、2017年の完全失業率が23年ぶりに3%を下回るなど雇用が改善する中で、『春闘』での賃上げがアベノミクスによる経済の好循環を持続的に向上させていくカギと見ているからです。
【ポイント2】連合は5年連続のベアを要求
定期昇給相当分を含め4%程度
労働組合の中央組織である日本労働組合総連合会(連合)は、2018年の『春闘』の方針を、全ての働く者の賃金の“底上げ・底支え”と“格差是正”の実現に取り組むと発表しました。連合は、具体的な賃上げ要求水準について、ベアと定期昇給相当分を合わせた月例賃金で4%程度として、5年連続のベアを要求しています。
2017年は“底上げ春闘”が掲げられ、4年連続のベア実施となりました。しかし、連合は企業収益が最高益更新を記録する中、労働分配率は低下を続け、実質賃金も横ばいとなっていることが、消費回復に向けた勢いが見られない要因と分析しています。個人消費の回復のためにも、4%程度の賃上げを要求しています。
【今後の展開】3月中旬が集中回答日、働き方改革も焦点のひとつ
今年の『春闘』は政府に加えて、日本経済団体連合会(経団連)も「3%の賃上げ」という異例の目標を打ち出しました。「3%の賃上げ」を巡り、食品や日用品など内需型企業は積極姿勢が目立っています。一方、グローバル競争にさらされる自動車や電機などの外需型企業は慎重な構えです。3月中旬の『春闘』の集中回答日に向けた動向が注目されます。
雇用情勢はひっ迫しており企業は人材確保への取り組みを強めています。今年の『春闘』は、大企業と中小企業及び雇用形態による格差是正や、女性や高齢者活用のための柔軟な働き方なども焦点となっています。