過去4カ月の推移と今回の予想値

 

 

雇用統計は堅調

 今週2月2日、金曜日に米国の1月雇用統計が発表されます。

 市場予想では、NFP(非農業部門雇用者数)が+18.0万人、失業率4.1%。平均労働賃金は前月比+0.3%となっています。

 この1カ月のドル/円の動きを見ると、雇用統計発表の翌月曜日(1月8日)につけた113.37円が1月の高値となって、その後は徐々に円高が進行。24日には節目の110円を割り、ムニューシン米財務長官の「ドル安良いこと」宣言や黒田日銀総裁の「インフレ目標近づいた」発言も出て、気がつくと2017年の安値(107.31円)が目前まで迫っています。2月の相場をスタートするにあたり、今回の雇用統計に注目が集っています。

 

 前回12月の雇用統計は、失業率は4.1%と横ばいだった一方、NFPは予想を大きく下回り、14.8万人の増加にとどまりました。失業率は下げ止まり、NFPの増加も鈍化傾向でしたが、FRB(米連邦準備制度理事会)はこの状況をどのように分析しているのでしょうか?

 

FRBは労働市場に楽観的、平均労働賃金も上昇の兆し

 1月17日に公表された、全米12地区連銀が経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」(ベージュブック)によると、米国経済は、「控えめから緩やかなペースで拡大した」との認識。米労働市場に対する見通しも楽観的で、実際いくつかの地区では、幅広い業種での賃金引上げが見られるとの報告もあがっています。

 雇用統計では平均労働賃金の伸び悩みが心配されていましたが、ようやく上向く兆しが出てきたようです。しかし、これを素直によろこべない事情もあるのです。

 

給料が上がると、失業者が増える?

 英国のIFS(財政問題研究会)は、インフレ率を超える最低労働賃金の上昇は、「仕事のロボット・AI化を急加速させる」と指摘するレポートを発表しました。また、カナダ銀行のエコノミストは、賃金の上昇が原因で、2019年までに60,000人の雇用が失われると警告しています。

 企業は、労働力を確保するために、人間の給料を増やしつつAI投資を増やす方向へと急いでいるようです。あと数年のうちに、コンビニや銀行で働いているのはすべてロボットになっていても不思議ではありません。「景気が良くなれば、失業率が下がり、給料が増える」という中央銀行の考えは、もう通用しない時代になりつつあるのです。

 移民ならぬAI排除を掲げる米大統領が登場する、そんなSFのような時代がいずれやってくるかもしれません。