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 トランプ氏が、アメリカ合衆国の第45代大統領に就任したのは2017年1月20日です。それから1年が経過しましたが、この間の仕事ぶりはどうだったのでしょうか。選挙期間中にトランプ氏が表明した公約の実現確率はさほど高くはなく、支持率も低迷しています。もっとも、保守派の多い与党共和党支持者に限れば、大統領支持率は約80%に達します。良好な経済に加え、保守層に的を絞った政策が奏功したようです。

 

【ポイント1】『就任1年目の成果』は乏しい

選挙期間中の公約のうち、実現できたのは15%にとどまる

 政治に関連する発言や声明の信憑性を検証する米国のウエブサイト「ポリティファクト」は、2016年の選挙期間中にトランプ大統領が表明した101の公約について、大統領就任1年後に、どのようになったのかをまとめています(18年1月16日付の「TRUMP-O-METER」)。

 それによると、大統領就任1年目に実現した公約数は9(全体の9%)、失敗が7(同7%)、取組中が47(同46%)、保留状態が32(同32%)、妥協したものが6(同6%)でした。15の公約(実現9、妥協6)が実現、ないし部分的に実現した一方、39の公約(失敗7+保留状態32)が陽の目を見ない、あるいは見ないままになっていることになります。成果としては、やや乏しいといわざるを得ません。

 

【ポイント2】実現したのは連邦規制の緩和やパリ協定からの離脱等

国境の壁建設等が、現在、実現に向けて取り組んでいる課題

 

 実現した公約として挙げられたのは、連邦規制の緩和、地球温暖化対策の推進を目指した国際的枠組みであるパリ協定からの離脱、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱表明(ただし、18年1月にTPP残留の可能性を示唆しました)等でした。

 一方、実現できなかった公約は、中国を為替操作国に認定、所得税の税率区分の簡素化(17年12月に成立した「税制改革法」での個人所得税の税率区分は7段階で、改正前と同一だった)等です。そのほか、メキシコ国境線上の壁建設、環境保護庁や教育省の大幅縮小等が、実現に向けて取り組んでいる公約です。

 

【今後の展開】支持者を繋ぎとめておくには、良好な景気・雇用を維持する必要

 ギャラップ社の世論調査によれば、トランプ大統領の支持率は17年1月最終週の45%から直近18年1月第3週の36%へと9ポイントほど低下しています。もっとも、目覚ましい成果に乏しく、失言を重ねてきた割に、支持率の落ち込みはさほど大きくありません。良好な景気・雇用が影響していると考えられます。

 政党別に支持率を見ると、民主党支持者の支持率が僅か7%なのに対し、保守派が多い共和党支持者の支持率は81%に達します。18年11月に予定されている中間選挙に向け、これら“岩盤”支持層を繋ぎ止めておくために、トランプ大統領は良好な景気・雇用を維持していく必要があると見られます。