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 FRB(米連邦準備制度理事会)は、年に8回開催するFOMC(米連邦公開市場委員会)のうち3、6、9、12月に開く会合で、FOMCメンバーによる米国経済と政策金利の見通しを公表しています。米国の政策金利はフェデラルファンド(FF)レートですが、FOMCメンバーが予想するFFレートの水準を “点(ドット)”の分布で表現したグラフは『ドット・チャート』と呼ばれ、市場の注目を集めています。

 

【ポイント1】『ドット・チャート』は政策を伝達する主要な方法ではない

しかし市場はそれを参考に金融政策を予想する

■FRBによれば、金融政策の意図を示す基本手段はFOMC声明であり、『ドット・チャート』は政策の意図を対外的に伝達する主要な方法ではありません。それでも、このような見通しが公表されると、市場はそれを参考に将来の金融政策を予想します。ドットが最も集中する(点の数が最も多い)予想値から、年に何回の利上げが実施されるかを推測するのです。

 

【ポイント2】18年は3回の利上げを予想

2019年は見方が割れる

■12月12日、13日に開催された直近のFOMCでは、FFレートの誘導目標値を0.25%引き上げ、1.25%~1.50%とすることが決定されました。

■今回の『ドット・チャート』を見ると、2018年末のドットは2.125%に最も多く集まりました。17年12月時点のFFレート誘導目標値の中央値は1.375%ですから、1回の利上げ幅を0.25%とすると、18年は3回の利上げが見込まれていることになります。

■19年末については、ドットの最多は2.6875%です。利上げ見込みは2回となりますが、ドットの分布が上下に大きく広がっていることを踏まえると、19年の見通しは割れているといえそうです。

 

【今後の展開】市場の利上げ予測はFOMCメンバーより緩やか

■市場が織り込む利上げペースは緩やか

 直近のFF金利先物市場は、2018年の利上げを2回程度と見込んでいます。つまり市場が織り込む利上げのペースは、 『ドット・チャート』 から推測されるFOMCメンバーの見通しに比べ緩やかということになります。

■利上げは緩やかなペースになる公算が大きい

 米国景気の状況から判断すると、2018年も利上げは継続されると予想されます。ただし、物価上昇率が低い水準で落ち着いていることから見ると、市場が織り込んでいる通り、利上げの速度は緩慢と考えられます。