3月27日
17年上期の主力ゲームや下期のIPOが焦点、引き続き大手4社“WANT”が有力
BOCIは中国のインターネット・セクターについて、2017年も引き続きデータテクノロジーが焦点になるとみている。17年上期にまず注目されるのは、テンセント・ホールディングス(00700)のオンラインゲーム「王者栄耀」(Honor of Kings)の好調。さらに4-6月には収益成長期待から再び、ネット銘柄が市場の注目を集めると予想。下期に関しては、複数のネット関連企業によるIPOがハイライトとなる見通しを示した。17年のトップピック銘柄は引き続き“WANT”。米ナスダック上場の新浪微博(米証券コードWB US)、NY証取上場のアリババグループ(BABA US)、ナスダック上場の網易(NTES US)、香港上場企業テンセントの4社を指す。
中国ネット企業の16年10-12月期決算は総じて堅調で、関連銘柄の90%以上が市場の予想通り、あるいは予想を上回る利益を確保。多くが17年1-3月期に関しても期待通りの業績見通しを示した。1-3月期の業績見通しがポジティブサプライズとなったのは、陌陌科技(MOMO US)、YY(YY US)というナスダック上場2社で、YYの好調はライブ動画配信プラットフォーム「虎牙」(Huya)の100%を超える急成長が背景。一方、捜狐(SOHU US)と畅游(CYOU US)の1-3月期見通しは予想を下回った。
ゲーム部門では、「王者栄耀」「陰陽師」というテンセント、網易の旗艦タイトルが旧正月期間中にそろって好調。うち「王者栄耀」の1-2月のデイリーアクティブユーザー(DAU)の伸びは16年10-12月期からさらに加速。BOCIの推計によれば、「王者栄耀」の2月の総取引高は月額25億元と、12月の21億元を上回ったという。また、網易の「陰陽師」は3月16日に実施したコンテンツのアップグレードが寄与し、中国でiOS版の収入ランキングが上昇。また、日本でも2月後半に投入した後、3月17日、20日には16位という過去最高のランキングを記録した。
一方、ネットセクターでは1-3月に経営人事の刷新が相次いだ。百度(BIDU US)ではチーフサイエンティスト辞任に伴い、王海峰副社長が同職に就任。また、テンセントは新たに、オンライン広告、グローバル・マーケティング、ブランディングを統括する会長職に劉勝義上級副社長を指名。任宇昕氏をオンラインメディアグループ(OMG)の社長職に指名した。BOCIはこれを受け、広告ターゲティング技術の向上を背景に、テンセントのニュースアプリ、オンライン動画事業がさらに強化されるとみている。
BOCIは引き続き“WANT”をトップピックとした。ソーシャル広告が成長初期段階を迎えたことや、大手が展開する主要モバイルゲームの好調が理由。17年にはIT技術を使った新たな金融サービス「フィンテック」(Fintech)が焦点となる見通しを示した。テンセントに関しては1日当たりのモバイル決済が6億元を超えた点に注目。このモバイル決済の拡大がモバイルゲームや広告収入に続く、新たな増収要因になるとみている。