この5年間、ギリシャ危機、地政学的リスク、量的金融緩和終了、利上げ開始、エネルギー価格急落、エボラ熱、中国株急落、ブレクジット、大統領選挙等々、あの手この手で皆さんに株式に投資させまいとするニュースをメディアは率先して取り上げてきました。もちろん短期的にそのようなニュースが株式市場に影響するのは確かです。しかしよく考えてみて下さい。この中のどれ一つとして、グーグルの中長期的なビジネスの本質的な価値に影響を与えるものはあったでしょうか?最近のメディア間の競争激化を見るにつけ、今後ますます皆さんに株式に投資させまいとするニュースが優先して取り上げられると思います。そのような中でも、その会社のビジネスにさえ自信が持てれば、ほとんどのニュースは無視して良いはずです。これまでの5年間がそうであったように、今後の5年間も同じく、いやますます投資家としてはこのようなスタンスが重要になっていくと思います。

 さてそれではグーグルはこの先5年間も、これまでの5年間と同じように、様々なニュースが出ても、それらに惑わされない良い投資であり続けるのでしょうか。恐らくそうでしょう。しかし同時に恐らくグーグルをしのぐ、もっと良い投資になると考えられる会社があります。それは昨年7月の楽天証券17周年記念セミナーでもご紹介したアマゾン(AMZN)です。

 本稿執筆時点で、グーグルもアマゾンも株価は970ドル近辺です。時価総額を見てみると、グーグルが6,630億ドルに対して、アマゾンは4,640億ドルです。しかし両社が主戦場とする市場規模を見てみると、グーグルは広告市場であり、恐らく世界で数千億ドルの規模だと思います。一方でアマゾンが主戦場にするのはアメリカの小売市場であり、これだけでも10兆ドル単位と桁違いの巨大な市場です。これに加えて、小売りと並んで収益の主力になると見られるアマゾン・ウェブサービスは近年、インターネットの世界において顕著な成長を遂げてきています。そのような会社の時価総額がグーグルを下回っている状態というのは、時間の経過と共に修正されていくでしょう。

 先日ビジネススクール時代の教授と食事をする機会があり、最近卒業生はウォール街には就職しなくなっている、と話していました。「やはりグーグルが人気トップ企業なのですか」と聞いたところ答えはNOで、トップはアマゾンとのことでした。アマゾンが狙う市場の規模、それに対する人材を含む将来に向けた積極的な投資、そしてアマゾンのこれまでの再投資実績を考えると、5年後のグーグルvsアマゾンの対決はアマゾンに軍配が上がると見るのが自然だと思います。結果はまた5年後、このコラムで。

(2017年5月22日)