IMMポジション推移(10/10 ~ 10/31)

 

円:円のネットショート、増加の勢いやや鈍る

 CFTC(全米先物取引委員会、Commodity Futures Trading Commission)発表による10月31日現在の建玉報告によると、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)通貨先物市場において、投機筋の円のネット枚数(円の買い建玉と売り建玉の差)は11万8,869枚のショートと、円の売り持ちが多い状況です。ドル換算にすると、約130億ドル相当のドルの買い持ち(円売り持ち)になります。

 円のネットショート枚数は、前週比で1.7%(約2億ドル)増えました。
売買別では、買い建玉(円ロング)が前週比約9.1%減少。一方売り建玉(円ショート)は前週比約2.0%減少。円ロングは減りましたが、円ショートが増えているわけではありません。ドル/円は7月以来となる114円台にのせ、それに呼応するように円ショート枚数も増加。しかし、ドル/円は一段上のレベル攻略に手こずる状況となっていて、IMMトレーダーも円ショートを積極的に積み増していくことには、慎重になっているようです。


IMM円  2015.10 ~ 2017.10
 

 

ユーロ:ユーロのネットロングは3週連続で縮小

  • ユーロのネット枚数(ユーロの買い建玉と売り建玉の差)は7万2,097枚のロングで、ユーロの買い持ちが多い状況が続いています。
  • ユーロ換算にすると、約90億ユーロの買い持ち(=約104億米ドルの売り持ち)。
  • ネットロング枚数は、前週比13.7%減。
  • 売買別では、買い建玉が前週比5.4%減り、売り建玉は1.5%増えました。
  • ユーロはロングポジションの取り崩しが続き、3週間で2.3億ユーロも少なくなりました。
  • 今回のレポートは10月26日に開かれたECB会合の直後のポジション状況。ECBは量的緩和の縮小を発表しました。金融政策正常化に向けて一歩踏み出したわけですが、IMMのポジション状況を見ると、評価はイマイチなようです。事前に十分周知されていたこと、緩和政策に未練を残した縮小だったこと、そしてユーロの今年最後となる大イベントが終了したことで達成感が出たことが理由と思われます。

IMMユーロ  2015.10 ~ 2017.10

 

豪ドル:豪ドルのネットは5週連続で縮小。売り建玉大きく増える

  • 豪ドルのネット枚数(豪ドルの買い建玉と売り建玉の差)は5万1,608枚のロングで、豪ドルの買い持ちが多い状況が続いています。
  • 豪ドル換算にすると、約51億豪ドルの買い持ち(=約39億米ドルの売り持ち)。
  • ネットロング枚数は、前週比9.9%減。
  • ロング枚数の取り崩しは5週連続。
  • 売買別では、買い建玉が前週比0.5%減る一方、売り建玉は前週比18.4%も増えました。
  • 17日に公表されたRBA議事録が、「豪ドルの大幅な上昇は、成長を鈍らせる」と、「大幅」の表現を新たに付け加え、通貨高対する不満を強調。豪ドルの持ち高を減らすきっかけとなったようです。

IMM豪ドル  2015.10 ~ 2017.10

 

ポンド:再びロングに転換

  • ポンドのネット枚数(買い建玉と売り建玉の差)は、1,245枚のロング。
  • ポンドのネットショートは、1週間で切り替わり、再び買い持ちが多くなりました。
  • ポンド換算にすると、約0.7億ポンドの売り持ち(=約1億米ドルの売り持ち)
  • 売買別では、買い建玉が前週比1.0%減ったのに対して、売り建玉も前週比5.0%減りました。売り建玉の解消が、ネットロングに切り替わった主な理由です。
  • 今回はBOE会合(11月2日)直前のレポート。10年ぶりの利上げを控えて、ショートポジションの調整が出たようです。
  • また、ロング枚数が増えていないことを考えると、BOE利上げに対する期待はそれほど大きくなかったとも考えられます。

IMMポンド  2015.10 ~ 2017.10
 

 

※明日(11月10日)のデイリー為替情報の掲載はありません。