討論会はハリス候補に軍配?「オクトーバー・サプライズ」にも注意

 また、米国では11月5日の大統領選挙に向けた動きも注目されます。今週の10日(火)(日本時間11日(水))には、米大統領選挙における候補者同士のTV討論会が行われました。

 この討論会を終えた両者の評価は、全体的には民主党候補のハリス氏が優勢となっています。

 共和党のトランプ候補への対策をしっかり練ってきた印象が強いほか、ハリス氏の泣き所とされる移民問題や増税政策の話をうまくかわし、さらに、支持者に向けた発言が多かったトランプ氏に対して、米国民全体に向けてのメッセージを軸に発言したことなどが功を奏したといえそうです。

 とりあえず、「最初の関門」を無事に突破したハリス氏ですが、株式市場では、いわゆる「ハリス・トレード」の意識が台頭しなくもないですが、討論会では具体的な政策にあまり触れていなかったことや、まだ曖昧な部分も多く、現状では、環境関連やクリーンエネルギー関連など、バイデン政権のスタンスに沿ったものにとどまることが想定され、市場全体を動かすほどの盛り上がりになりにくいことが考えられます。

 また、今後の政策が見えてくる段階では否定的な意見が出てくることもありそうです。

 それにちなんでいうと、米大統領選挙には「オクトーバー・サプライズ」というジンクスにも注意しておく必要があります。オクトーバー・サプライズとは、11月の投票日前の10月に選挙戦に影響を与える話題や材料が出てくるというものです。

 例えば、2016年の時には、優勢に選挙戦を進めていた当時のヒラリー・クリントン候補の国務長官時代の「私用メール問題」が浮上したのが10月のタイミングで、FRBが捜査を再開する動きが出てきたことがトランプ氏に敗北する原因になったとされているほか、2012年の時には、10月下旬に米国を襲ったハリケーン(サンディ)に対するオバマ大統領の災害対応が評価されたことが追い風となって再選につながったとされています。

 従って、ハリス氏がこのままの勢いを継続できるかは油断できない状況であるといえます。

結局は米国の景気次第の展開が続く

 これまで見てきた状況を踏まえると、米国の景気に対する警戒感は根強く、FOMCを通過後も引き続き景況感に左右される相場展開が続き、今後発表される経済指標をはじめ、スケジュール的には、来月半ばから本格化する企業決算シーズンで確認しながら推移することになりそうです。