11日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比539円安の3万5,619円となり、再び、安値を試しているようにも見える状況です。一時1ドル=140円台後半を付けた円高が嫌気されています。今期(2025年3月期)の日本企業の業績予想の前提は1ドル=145円前後が多いことを考えると、それを超える円高が進んでいることが、業績の下方修正要因になる可能性もあります。
日経平均株価週足:2024年1月4日~9月11日
今年の日経平均は7月11日まで「円安株高」局面が続いていました。ところが、1ドル=161円台、日経平均は4万2,224円を付けた7月11日を境に、「円高株安」局面に転換しました。急激な円高が進むとともに、円高で企業業績が悪化する懸念が出る日本株が売られ、日経平均が急落しました。
今後、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)は利下げを続けていくことはほぼ確実です。一方、日本銀行は利上げスタンスを維持しています。日米金利差の縮小を見つつ、さらなる円高が進む可能性があります。
日経平均は、8月5日に一時3万1,458円まで下落していますが、これは海外投機筋による日経平均オプション取引解消によって起こった「過剰反応」と考えています。この急落・急騰はオプション絡みの特殊な取引で引き起こされたもので、経済実態を映したものではありません。
これについて詳しい説明をお読みになりたい方は、以下のレポートを参照してください。
3分でわかる!今日の投資戦略 2024年9月2日:令和のブラックマンデー続報、歴史的暴落にプット売りが影響(窪田真之)
米景気は「ソフトランディング?ハードランディング?」議論続く
過去2年以上にわたって、減速しつつある米景気が、ソフトランディング(軟着陸)するかハードランディング(急速な失速)となるか【注】、議論が続いていますが、いまだに結論は出ていません。
【注】米景気ソフトランディングかハードランディングか
◆ソフトランディング・シナリオ:米景気は減速が続くものの景気後退に至ることはなく堅調に推移するシナリオ。米金利低下にともなって1ドル=140円前後に円高が進むものの、それ以上の急激な円高にはならず。日本の景気・企業業績は緩やかな拡大が続く。
◆ハードランディング・シナリオ:米景気が今後さらに冷え込み、景気後退局面に入る。FRBは急激な利下げを迫られ、1ドル=120~130円へ円高が進む。日本の景気も腰折れし、企業業績は減益となる。
私は、メイン・シナリオとして、米景気ソフトランディングを予想しています。従って、日経平均は既に下げ過ぎで、ここは日本株の良い買い場と見ています。ただし、私の米景気の見方が正しいとは限りません。リスク・シナリオとして米景気ハードランディングの可能性もあります。