自民総裁選で注目される政策関連株5選(リクルート、三菱重工、チェンジHD、日本製鋼所、グローバルセキュリティ)

リクルートHD(6098・東証プライム)解雇規制緩和なら追い風

 人材サービスの国内最大手企業です。オンライン求人プラットフォームの運営、人材紹介、人材派遣など幅広く関連サービスを手掛けています。解雇規制の緩和が実現すれば、雇用の流動化が一気に広がるとみられ、人材サービス業界各社にはビジネスチャンスの拡大が想定されます。

 解雇規制緩和はこれまでも度々議論に上がる政策テーマですが、有力候補の小泉氏や河野氏が相次いで言及しているほか、株式市場が企業のROE(自己資本利益率)向上を強く求め始めている状況から考えて、実現の可能性も高まる方向にあるとみられます。

 解雇規制緩和に向けたセーフティネットの一環としてのリスキリング研究なども行っています。なお、高市氏は解雇規制緩和に慎重な姿勢のようではあります。

三菱重工業(7011・東証プライム)自民総裁選・米大統領選で防衛銘柄として脚光

 国内重機の最大手企業で、防衛関連の圧倒的な中心銘柄と位置付けられます。防衛装備庁によると、2023年の防衛装備品契約金額は1兆6,800億円で、第2位の川崎重工業の4倍強の水準となっています。安全保障政策に関しては、各候補者で大きな違いはないとみられますが、とりわけ、高市氏、石破氏、河野氏などは防衛力強化に対して前向きな印象があります。

「防衛」に関しては、自民党総裁選のみならず、11月に予定されている米大統領選に向けても関心が高まるテーマでしょう。とりわけ、共和党候補のトランプ前大統領の復権が実現した場合は、日本への防衛予算拡充プレッシャーが高まる可能性もあり、ほとんどの候補者がそれに対応する状況となりそうです。なお、茂木氏は防衛増税の停止を総裁選出馬に向けて掲げています。

チェンジHD(3962・東証プライム)ふるさとチョイス運営、地方創生で注目

 ふるさと納税プラットフォーム「ふるさとチョイス」の運営や、自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援などを展開しており、地方創生関連の中心銘柄として位置付けられています。石破氏は地方創生を政策の一つの目玉としており、東京都以外の地域を中心にデジタルの恩恵を広める事業を行っている同社には活躍余地が広がっていくものと考えられます。

「ふるさと納税」の在り方は今後変化していく可能性もありますが、同社では利用者へのポイント付与を軸とした寄付募集のプロモーションは行っておらず、影響は限定的と考えられます。また、小泉氏の大きな後ろ盾となっている菅氏も地方創生に注力していたことから、小泉氏も同様の展開が期待されるものとみられます。

日本製鋼所(5631・東証プライム)原子炉圧力容器で世界的シェア

 射出成形機などの産業機械が利益柱となっていますが、原発の原子炉に用いられる圧力容器では世界8割程度のシェアを占めているとみられています。

 高市氏はもともと原発推進派とみられていましたが、慎重派と見られた小泉氏や河野氏も原発政策に対する理解を示しており、石破氏以外の候補者であれば、原発関連銘柄にとっては買い安心感が一段と高まっていく可能性があるでしょう。

 また、国内火砲システムのリーディングカンパニー的な存在であるほか、防衛機器を複数手掛けており、防衛事業の受注額が2024年3月期には大幅に拡大しています。防衛関連銘柄としての切り口が大きいことも妙味と考えられます。

グローバルセキュリティエキスパート(4417・東証グロース)サイバー対策関連

 国内中堅・中小企業向けにサイバーセキュリティに関する多面的なサービスを展開しています。官公庁も主要顧客となっているようです。訓練サービスや教育講座を主力サービスとする教育事業が軸で、コンサルティングや導入・運用サービスも行っています。

 高市氏は能動的サイバー防御に関する責任や権限を担う機関を立ち上げると言明、サイバーなど新たな戦争に対応できる国防体制にするとしています。高市氏が首相になり、その可能性が高まった場合、同社などサイバー対策関連に幅広く物色が向かう可能性は高いでしょう。

 関連銘柄の中でも、官公庁に向けた教育サービスでの実績があることは、より需要が向かいやすいとの見方にもつながっていきそうです。