有力候補5人の政策、市場で期待高いのは高市氏と小林氏

 以下では、現状での有力候補とみられる5人の政策をまとめています。ちなみに現状では、世論調査では小泉氏や石破氏がリードしているとみられますが、株式市場での期待感が高い候補者は高市氏、小林氏となっているようです。

 高市経済安保相は9月9日に立候補を表明しました。総合的な国力強化を訴え、戦略的な財政出動などによって強い経済を実現すると主張しています。経済成長をどこまでも追い求め、危機管理投資と成長分野への投資で、税率を上げずに税収を増やせると強調しています。国と地方の基礎的財政収支に関しては、「目標は自然に達成される」との見通しを示しています。

 特徴的なところでは、能動的サイバー防御に関する責任や権限を担う機関を立ち上げると表明しています。外交面では、権限を持てば中国が沖縄県・尖閣諸島付近に設置したブイは撤去する、非核三原則の「持ち込ませず」についてはしっかり議論すべきなどとしています。なお、解雇規制については規制緩和に反対の立場をとっています。

 小泉元環境相は9月6日に立候補を表明しました。規制改革への意欲を語り、解雇規制の緩和を労働市場改革の本丸と主張しました。解雇規制緩和では、再就職や学び直しの支援を条件に大企業の人員整理の要件を緩和する案を示し、2025年に関連法案を提出すると説明しています。そのほか、規制緩和ではライドシェアの全面解禁も挙げています。

 岸田政権の経済政策は「貯蓄から投資」などをはじめ「基本的に引き継ぎたい」としているようです。エネルギー政策では、原子力発電所の再稼働や新増設も容認する考えとしています。外交政策は日米同盟を強化、同四国と経済安保で連携していく方針のようです。

 河野デジタル相は8月26日に立候補を正式表明しました。データセンターの整備などに必要な電力需要を満たすため、あらゆる技術を活用する姿勢を強調しています。水素やアンモニア、核融合などのほか、原子力発電所のリプレース(建て替え)も選択肢としています。

 また、財政規律はしっかりと取り戻さなければならないとしているほか、台湾有事などに備えて自衛隊の防衛力整備、人的投資強化の必要性も訴えています。その他、解雇の金銭解決制度に前向きな姿勢をみせるなど解雇規制の緩和検討にも意欲を示しています。

 税や社会保険料など所得に関するデータを国が一元的に管理し、必要な人に対象を絞って物資や補助金などを支給する「デジタルセーフティーネット」をつくる意向も示しています。

 石破元幹事長は8月24日に立候補を表明しています。政治資金問題で生じた政治不信を払拭する姿勢を強調しています。エネルギー政策については、原発をゼロに近づけていく努力は最大限行うと言及し、再生可能エネルギーを活用して原発の比重を下げていきたい意向のようです。

 47都道府県が持っている可能性を最大限に引き出すことによって、もう一度、地方に雇用と所得を高めさせるような地方創生にも注力していきたい意向です。また、安全保障・防災においては、防災省の設立や武力攻撃を受けた際の避難用シェルターの整備にも努めるとしています。なお、金融所得課税強化については、現状では他の候補者と一線を画す状態にはなっています。

 小林前経済安保相は8月19日にいち早く立候補を表明しています。経済政策に関しては、財政の健全化は必要としながら、経済が財政に優先するとし、今はアクセルを踏むときだと強調しています。2024年中に物価高対策の政策パッケージを打ち出し、2050年を見据えた「国家戦略2050」を策定するとしています。

 社会保障政策では、イノベーションを通じて医療・介護の持続可能性を高めるとし、若い人に負担がかかる現行の社会保障の概念を打ち破ると主張しています。また、あらゆる政策を総動員して若者の手取りを大幅に増やすとしています。金融政策は日銀の専管事項であるという立ち位置です。

 エネルギー政策では現実性を重視する考えであり、安全性を担保した上での原発のリプレースや新増設の促進を提唱しています。また、半導体産業の再生へ「地方への大胆な投資」を目指すとも語っています。

 その他の候補者でみられる特徴としては、茂木氏はライドシェアの全面解禁や自然災害対策の強化、上川氏は災害に強い地域づくりや子供の出産に向けた環境整備などが挙げられそうです。

 そのほか、林氏は「親中派」と呼ばれているとの指摘に対して「知中派」であるとコメントしています。加藤氏は医療DXの推進が期待されやすそうです。