日本株市場が大幅に下落し、調整色を強めている。26日の東京株式市場で、日経平均株価終値は前日比202円安の3万7,667円だった。

 7月11日に付けた史上最高値(4万2,224円)からの下落率は1割を超えており、大きな相場変動に不安を覚える人も少なくないだろう。今、個人投資家は何に注目し、どう行動すべきか。お金の専門家と個人投資家に、下落相場との向き合い方を聞いた。

円安、ハイテク株高の流れに変化

 日本株の下落は、これまで上昇を支えていた円安とハイテク株高の流れが変わったことが背景にある。25日の米ハイテク株下落を受け、東京市場でも半導体関連株が売られた。円高が逆風となる輸出関連株でも売りが目立った。リスクの高い資産から安全な資産に資金が流れるリスクオフの動きが世界的に強まっている。

積立投資家は、無駄に動かないこと

 株安の流れは、積立投資で人気の全世界株やS&P500種指数に連動するインデックスファンド(投資信託)にも影響がある。積立投資家は、下落相場をどう捉えればよいのか。ウェルスペント代表でファイナンシャルプランナー(FP)の横田健一さんに聞いた。

ウェルスペント代表・ファイナンシャルプランナー(FP) 横田健一さん

 積立投資などで長期の資産形成を目指す人は、今焦って行動する必要はありません。積立投資は、時間を味方にリターンを得る投資手法。相場の変動に合わせて売買せずに、ほったらかしておくこと、無駄に動かないことが基本です。

 ここ10年弱の世界の株式市場を振り返ると、右肩上がりの傾向が続いていました。マーケットが大きく動くのは当たり前のこと。調整局面に入れば一時的に保有資産の評価額がしぼむこともありますが、気にする必要はありません。

 その上で、今投資家が考えるべきことは、「投資に回しているお金が妥当かどうか」。何かあった時の生活防衛資金として、半年から1年分の資金を預貯金や個人向け国債などの元本保証商品に置いておき、その他の余剰資金で投資ができていれば安心です。

 生活防衛資金は、共働きなどダブルインカムの世帯であれば6カ月程度、個人事業主など収入の変動が大きい人であれば少し多めの1年分くらいが目安です。こうした生活防衛資金を確保しないで、全ての資金を投資に回している人は、一歩立ち止まって確認しておきましょう。

 また、今後5年以内にライフイベントなどでまとまったお金が必要になる予定の方は、その資金も投資には回さず確保しておくと良いでしょう。

「見据えるのは10~20年先の未来」個人投資家の声

 YouTubeチャンネル「BANK ACADEMY / バンクアカデミー」で情報発信する小林亮平さんは、指数に連動するインデックスファンド(投資信託)の積立投資を実践している1人。

「こんな時こそ、積立投資をとにかく止めずに続ける事が大事。相場が下落した分、今までと同じように積み立てを続ければ、より安く多くの金融商品を買えます。逆に絶好の買い時だと思い、余裕を持って運用を続けていきましょう」(小林さん)と話している。

 同じくインデックス投資をしているぽんちよさんも、「下落は辛いかもしれないけど、個人投資家が見据えているのは10~20年先の未来。ここで退場せずにしっかり積み立てできたかどうかで、資産運用のリターンは大きく変わってくる」と強調する。

 一方、個別株投資家は足元の相場変動をどのように受け止めているのか。

「最近の株価下落で『株ツラい』人が多いと思います。誰もが株価下落は辛くて、避けたいです」と話すのは、日本株投資家のDAIBOUCHOUさん。「自分にとって、下げ相場はネガティブな要素に気付きやすく、保有株の見直しの良い機会。保有株を改めてチェックして入れ替えをしますが、投資量を極端に減らさないように気を付けています」としている。

 米国株投資家のたぱぞうさんは「今はS&P500の決算真っただ中で、決算はおよそ8割の企業がコンセンサスをクリアし、堅調と言える。自分なりに目線を持っておき、可能性は高くないがもし想定した値よりも安くなるならば買いとなる」と現状を分析。先行きを注視する構えだ。