2月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 1月末にかけて話題の中心だったのがゲームストップ株騒動でした。これが、SECの監視強化などで沈静化(=ゲームストップ株などSNS「レディット」で盛り上がったショートスクイーズ狙い銘柄群が軒並み急落)。これで米国株市場が安定を取り戻したこともあり、2月前半は日本株も再び上昇の勢いを強めていきました。
※ショートスクイーズ:取引が売りに傾いている状況で、大きな買いが仕掛けられ、株価が急騰すること。「踏み上げ」とも呼ぶ。

 なかでもすごかったのが日経平均株価。15日に、1990年以来30年半ぶりとなる3万円台を回復。日経平均をショート(ダブルインバース買いなど)した形のポジションが積み上がっていたこともあり、日経平均を舞台としたショートスクイーズが加速した面もあったといえます。個別株で強かったのは、日経平均の指数ウエイトが高いファーストリテイリングなど値がさ株。そして、2月の主役に浮上したのはバリュー株でした。

 米長期金利の上昇が加速し始めたことで、バリュエーションで割高なグロース株が売られ、割安なバリュー株が買われる壮大なリバーサルが発生。米金利の上昇については、バイデン新政権の経済対策成立期待、原油高による期待インフレ率上昇も理由とされますが、最大の理由は新型コロナワクチンの普及です。ワクチン接種が進んでいたイスラエルで、ファイザーのワクチンの有効性も判明。米国でワクチン接種が急速に広がっていましたので、経済正常化に向けて市場が勢いよく動きました。

 これは日本でも一大テーマに。ファイザーのワクチンに特例の薬事承認が行われ、ついに日本でも17日より接種が開始しました。ワクチン期待に加え、新規感染者数も減ってきていたこともあって緊急事態宣言の解除も先取る格好に。JR株や空運株、インバウンド関連銘柄やGoTo関連銘柄など“アフターコロナ株”の至るところで火柱が上がる展開に。

 この展開は、新興株市場に逆風でした。とくにマザーズでいえば、指数ウエイトの高い主力ネット株のほぼ全てが“ウィズコロナ株”。ワクチン期待による「アフターコロナ株買い/ウィズコロナ株売り」の流れが、マイナス方向に作用する傾向が見えました。米長期金利の上昇が加速した月末に、日本株全体が急落しましたが、2月の月間騰落率では日経平均株価が+4.7%、TOPIX+3.1%。その一方、日経ジャスダック平均が+0.6%、東証マザーズ指数が+0.4%と、日経平均3万円! の波に乗り損なった新興株市場でした。