決算発表前は業績安心感の強い銘柄に資金集中も?

 仮に、今後も経済活動の回復が続いた場合でも、国境を越えた人の往来の正常化にはまだまだ時間が掛かるとみられ、コロナ前の経済状況まで回復するには時間を要するとみられます。

 また、世界での新型コロナウイルス感染者数は依然として増加傾向をたどっており、今後は経済活動の再度の縮小も意識されてくる可能性があります。米中関係には依然として緊張感が残り、足元ではトランプ米大統領の支持率低下なども気がかり材料となってきています。

 コロナショック前に接近している現在の株価水準から、さらに上値を買い進める動きなどは限定的になるものとみられます。

 7月の下旬からは3月期決算企業の第1四半期決算発表がスタートします。このタイミングでは、多くの企業が通期業績見通しや配当計画などを開示することになるでしょう。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中では従来以上に慎重な計画となる可能性も高く、あらためて業績への懸念やバリュエーションから見た株価水準の割高感が意識される公算も大きそうです。

 とりわけ、新型コロナウイルスによる業績へのマイナス影響が大きいとみられる銘柄には、決算前の買い手控えも強まる見込みです。物色の二極化の流れはもう少し続くものと考えます。

 情報通信関連セクターにおける出遅れ銘柄、短期的に新型コロナの影響が限定的とみられる医薬品、食料品、建設セクターなどに安心感は強いとみられます。

 また、世界的な販売回復がみられる自動車関連株も、中国の政策変更によるハイブリッド車需要拡大期待を高めたいところです。

 なお、ほとんどの産業において、第1四半期決算がボトムとなる可能性は高いと言え、発表前は買いにくいですが、仮に決算発表が一段安につながる銘柄などは、財務体質がぜい弱な銘柄を除いて、中長期的には絶好の買い場となるでしょう。