5月12日
国有企業改革に期待、「資産の証券化」が15年の投資テーマに
中国自動車セクターでは「中信自動車指数」がカバーする自動車・部品銘柄119社のうち、各カテゴリーでリーディングポジションにある国有企業が46社を数え、国有部門の存在感が大きい。BOCIはこの先の「国有企業改革」が自動車セクターに幅広く影響するとみて、2015年にはこれが主要テーマとなるとみている。自動車メーカーにとってコストダウンや競争力強化に向けた企業規模の拡大が不可欠であり、既存国有メーカーを強化するとの政策方針は国内経済における国有資産のポジション固めにつながる見込み。BOCIは自動車業界における国有企業改革が、◇グループ資産の証券化、◇経営インセンティブの導入、◇小規模企業の資源再編――という3つの方式で行われると予想。中でも大手国有メーカーによる資産の証券化が主要投資テーマになるとみている。
国有自動車大手の多くは“混合所有制”(国有企業による社会資本・民間資本などの導入)への移行を完了しておらず、BOCIは「まずは大手メーカーによる資産の証券化が国有企業改革の中心になる」と予想。その効果で、混合所有制の導入に向けたコーポレートガバナンスの最適化や企業システムの現代化が進むとみている。
このほか、国有企業改革の一つである経営陣向けの株式インセンティブ制度の導入は、地方政府系の中小メーカーの活性化を促す可能性が高いという。中国自動車業界ではビッグ4と中小4社が計8割の国内シェアを握り、その他国有企業は主に商用車パーツ製造などに従事するのが現状。こうした中小メーカーは主に年商100億元以下で、利益能力も相対的に弱い。特に改革が急がれるのは地方政府系の小規模国有メーカーだが、このグループにおいては改革が急激な変化を生む可能性があり、特に株式インセンティブ制度の導入が活性化につながる可能性があるという。一方、一部の小規模国有メーカーは、相対的に規模の大きい国有メーカーの“裏口上場”のターゲットとなる可能性もあり、BOCIはこの点を踏まえた投資チャンスに言及している。
なお、自動車業界における国有企業改革にはすでに前例があり、13-14年にかけてパイオニアとなったのは上海汽車集団(600104)、華域汽車系統(600741)、安徽江淮汽車(600418)、厦門金龍汽車集団(600686)など。改革の内容はそれぞれ異なり、うち安徽江淮汽車は全体上場と戦略投資家の導入を実施した。
BOCIは、個別のA株銘柄の中で、一汽轎車(000800)と中通客車控股(000957)の株価の先行きに強気見通しを示している。一汽轎車は唯一、全体上場を実施していない大手国有メーカー。全体上場後の時価総額は3000億元に上る見通しという。また、中通客車はクリーンエネルギーバスの開発で一定の成果を収めており、16年には同事業の売上構成比、利益構成比が50%を超える見込み。地元山東省政府はすでに同社の改革方針を発表済みであり、その実現に伴う競争力強化が期待されるという。