4月1日
3月のカジノ総収入は39%減、中国の“富の創出”によるプラス効果に期待

マカオの3月のカジノ総収入は前年同期比39.4%減と、市場コンセンサス予想(同35-40%減)の範囲内だった。旧正月要因による2月の低迷から立ち直るだけの支援材料に欠けたことになり、カジノ市場のファンダメンタルズの後退を伺わせた。BOCIは2015年通年のカジノ収入見通しの下方修正に先立ち、カジノ銘柄が3月前半に各15-30%大きく調整したことに言及。下方修正要因はすでに織り込まれたとみている。また、中国本土における新たな“富の創造”がこの先カジノセクターを支えると予想。セクター全体に対して中立見通しを示し、個別では短期視点から、銀河娯楽集団(00027)とメルコ・クラウンを選好している。

3月のカジノ総収入は前年同期比39.4%減の215億パタカ(1パタカ=約0.94HKドル=約14.7円)。うちVIPカジノ収入はジャンケット(VIP仲介人)の資金ひっ迫やVIP向け貸付金の焦げ付きの増加を受け、引き続き低迷した。BOCIはVIPカジノ収入について、前年比50%前後の急減ペースが続くとみている。一方、一般客カジノ収入の減少率に関しては同30%程度を予想している。

BOCIは現行トレンドを基に、月別のカジノ総収入のマイナス成長が2016年第1四半期まで続くとの見方。15年通年のカジノ総収入に関しては前年比24%減の2650億パタカを見込んでいる(「前年比7%減」から下方修正)。15年半ばには、銀河娯楽が『ギャラクシー・マカオ』2期と『ブロードウェイ・マカオ』を開業する予定だが、BOCIは新規施設のオープンが市場全体の回復を促す可能性には否定的。他社からシェアを奪う形で、銀河娯楽のシェアが拡大するとみている。

一方、BOCIはセクター全体の支援材料として、中国国内での富の創出を指摘している。現政権の誕生から2年を経て、中国はすでに新たな富の創出サイクルを迎えた可能性があるという。中国政府は反汚職政策を浸透させる一方、社会全体の経済的利益の拡大に目を向けた政策を進めていると指摘。その結果としてのA株市場の活況がリターンの拡大に寄与しているとした。また、こうした状況がカジノ業界の変化に向けた基盤作りを後押しすると予想。今後は一般客カジノ部門や非カジノ部門がマカオの需要増を支える見通しを示し、中長期のカジノ銘柄の収益性回復を予想している。

カジノ銘柄の株価は利益見通しの大幅減額修正を背景に3月に調整したが、BOCIは現在株価の低バリュエーションを指摘しながらも、短期的には支援材料に欠けるとの見方。個別では銀河娯楽とメルコ・クラウンを選好し、他にサンズ・チャイナ(01928)の株価の先行きに対しても強気見通しを示した。一方、エムジーエム・チャイナ(02282)、ウィン・マカオ(01128)、エスジェイエム・ホールディングス(00880)に関しては相対的な競争力の低下を見込み、当面、低バリュエーションが続くとみている。