3月9日
全人代でも重点議題に、今後の施設アップグレードで水処理銘柄が有望
北京で3月5日開幕した全国人民代表大会(全人代:中国の国会)では環境問題が主要議題の一つとなったが、BOCIはこの点に着目した上で、北控水務集団有限公司(ベイジン・エンタープライジズ・ウォーター:00371)を環境セクターのトップピックとしている。事業規模の大きい同社は水処理施設アップグレード・プロジェクトの主要参加者。また、優れた執行力やブランド力を武器とする同社は、業界統廃合の先導者でもあるという。BOCIは地方公共サービスとしての廃水処理(MWWT)能力に基づく同社シェアが、2020年までに9%へ倍増すると予測している。
李克強首相は全人代初日の政府活動報告で、「河川、湖、海などの水質汚染を強力に抑制する」との方針を示しており、水質汚染対策とその具体的な行動目標を近く発表する見込み。BOCIはこれまで普及率の向上が焦点となっていた水処理関連政策が、今後は処理の質的向上にシフトするとみている。国家発展改革委員会(NDRC)のリポートでは、中国の汚水処理率は14年に90%に達し、ゼロからの新規開発余地は段階的に縮小する見通し。この先処理能力を引き上げるためには、シェアの拡大が求められるという。
また、非政府系資本による公共投資を奨励する政府方針を受け、BOCIは民間MWWT事業者のシェアが上向くと予想。民間企業の存在感の高まりが処理効率の向上や政府の財務負担軽減につながるとみている。また、民間企業が地方政府から水処理ビジネスを請け負う際、「TOT(建設・運営・引き渡し)方式+アップグレード」が主流になるとの見方。中国水処理市場の構造的変化を予想し、水処理セクターを有望視している。
一方、中国政府は環境保護法を強化し、15年1月1日付で改正法を施行したが、この中に違法排気を摘発し、多額の罰則を科すなどの方針を明記した。BOCIはこれを受け、産業界の統廃合や工場のアップグレードが加速するとの見方。これが買収機会につながるとみて、各業界の大手銘柄への恩恵を予想している。
中国政府は環境保護分野の価格体系を改善する方針。廃棄物などの処理サービス料に関しては政府負担から社会負担に移行させるため、適切な価格決定メカニズムの構築を目指している。社会負担への移行に際しては、環境保護税を導入してサービス料に当てるなどの方式が選択肢の一つであり、こうした方法が実現すれば、地方政府の資金難の改善につながる可能性が高い。さらに環境業界の発展にも寄与し、環境サービス銘柄の売掛金未収リスクに対する投資家の懸念も後退する見通しという。
個別銘柄では、廃水処理の康達国際環保(06136)が透明度向上に向け、15年1月から月次の業務統計公表に踏み切った。同社の取得済みプロジェクトの規模(廃水処理能力)は2月に前月並みだったが、BOCIによれば、これは季節要因によるもの。15年末に向けてプロジェクト規模の拡大が期待されるという。