3月2日 
ガス価格値下げで「価格改革」加速へ、利下げは風力・原発事業者に恩恵

中国の国家発展改革委員会(NDRC)はこのほど、4月1日付でガス価格を調整する方針を発表した。非住宅向けのゲート価格(出荷価格と輸送費を基に設定する卸売価格)を対象に、「前年比での消費量増加分」については1立方メートル当たり0.44元値下げし、「前年消費量と同等分」に関しては逆に0.04元の幅で引き上げる。うち前年比増加分の値下げ幅は、市場の事前予想(同0.2元)を大きく超える数字。これにより、非住宅向けゲート価格は全体で同0.13元引き下げられる運びとなった。

今回の価格調整は、NDRCが年初に発表した価格改革方針に沿った動き。上下方向への価格調整は、前年比の「消費量増加分」と「同等分」との価格差を解消し、ガス価格体系の一本化を図る目的という。BOCIは2015年通年の混合ガス価格が、1立方メートル当たり平均2.54元にとどまるとの見方(従来予想値は2.64元)。予想より前倒しの調整実施を理由に、NDRCが15年に価格改革を加速させるとみている。また、ガスだけでなく、石炭価格改革も加速するとみて、従来型の火力電力会社にとっては不利となる可能性を指摘している。

中国人民銀行(中央銀行)は3月1日付で0.25%の利下げを実施したが、BOCIの敏感度分析によると、恩恵が特に大きいのは、風力発電会社や原発事業者といった高負債銘柄。火力発電主体の従来型電力銘柄も負債比率が高いが、減価償却費や財務費の対売り上げ比率がそれぞれ10%、5%にとどまるため、敏感度は相対的に低いという。

一方、政府はクリーンエネルギーや環境保護に対する政策支援を継続する見込み。3月3日、5日にはそれぞれ全国政治協商会議、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕したが、この場で環境問題が重要政策課題の一つであることが改めて確認される見通しだ。中国では最近、国有テレビ局CCTVの元記者が自費で制作した大気汚染に関する動画が大きな反響を呼んだが、BOCIはこの動画が政府系ニュースウェブサイトで放送されたことに言及。こうした政府の受け入れ姿勢が、環境関連の厳しい規則の導入に向けた布石である可能性を指摘している。

クリーンエネルギーに関しては、BOCIは特に「京津冀(北京市・天津市・河北省)一体化構想」の恩恵が及ぶ銘柄に目を向け、河北省でガスおよび風力発電事業を手掛ける新天緑色能源(00956)を有力視している。一方、水質汚染対策は全人代閉幕後、早ければ3月中に発表される見込み。水処理施設の整備に加え、排水規制が強化される可能性があり、この分野では北控水務集団(00371)をトップピックとした。

また、ガス価格値下げに伴うガス消費の伸びは特に、中国ガス(00384)にとって追い風。都市ガス銘柄の中では華潤ガス(01193)の現在株価の15年予想PERが14.5倍と最も低く、14年の販売実績の低さに起因する15年の販売増が支援材料となる見通し。