2月24日
高齢者消費市場が成長期入り、乳製品/おむつ/スーパーの追い風に
中国の高齢者消費市場が今年、成長に向けた転換点を迎える可能性が出てきた。BOCIによると、高齢者人口(65歳以上)は2015年に1億3,200万人に達し、15-20年には年率5%増加する見込み。中国の1人当たりGDPが15年に8,000米ドルを超えるのを機に、“高齢者経済”の成長期入りの可能性が高まっており、乳製品や尿漏れケア製品、スーパーマーケットが中でも有望視される。個別では中国蒙牛乳業(02319)、維達国際(03331)、高キン零售(06808)などの大手に恩恵が及ぶとみられている。
国連の予測では、中国の労働力人口(15-64歳)は15年に10億1,500万人でピークを迎え、その後は減少に転じる見込み。2005年に始まった第4次ベビーブームは15年に終わり、その後減少に転じるか、あるいは横ばいで推移するかは中国政府の人口政策次第という。一方、高齢者人口は15年に1億3,200万人(乳幼児人口の2.6倍)に達した後、20年までの向こう5年間に年間700万人(年率5%)のペースで増加する見込み。この数字は過去20年間の年間200万-400万人(年率3%)を上回るという。
また、高齢者は人口そのものが増加しているだけでなく、購買力も高まっている。BOCIによれば、高齢者の購買力の伸びは累積資産効果(特にブーム以前に取得した不動産の資産価値上昇)や社会福祉制度の整備、子供向け教育費や住居費の縮小などを背景に、若年層を上回る見通しという。
高齢者消費の拡大による恩恵はまず、尿漏れケア市場に及ぶ見込み。BOCIは尿漏れ用の成人おむつ市場が13年の21億元から、20年には85億元へ4倍に膨らむとの見方だ。高齢者人口の増加だけでなく、尿漏れに悩む高齢者グループ(高齢者の28%に当たる推定3,700万人)のおむつ利用率の上昇が市場拡大に寄与する見込み。同グループ内のおむつ利用率は13年の3%から20年には15%に上向くとみられる。
女性を中心とする高齢者のカルシウム摂取の必要性が注目される中、乳製品市場も有望。また、日本などの例を見ると、高齢者は日用品購入額に占める食品の割合が大きく、この点からスーパーマーケット部門も有望という。ネット通販の台頭は脅威だが、BOCIは生鮮食料品の品揃えの充実やショッピング体験の最適化、中小都市での店舗網拡大を受け、スーパーマーケット業界の抵抗力が強まるとみている。 個別銘柄を見ると、まずは牛乳(液体)販売額で28%の国内シェアを握る中国蒙牛乳業が有力。高齢者による乳製品消費拡大の恩恵を最も受けやすい。BOCIはさらに製品開発力や巨大な販路を同社の強みとし、株価の先行きに対して強気見通しを付与している。また、尿漏れ用おむつ需要の拡大による恩恵が及ぶとみて、紙製品メーカー維達国際に対して強気見通しを付与。一方、小売大手の高キン零售に関しては小都市での店舗網やサプライチェーン、営業スキルなどを評価し、中立見通しを示している。