10月31日
14年7-9月期にセクター全体で7.6%増益、不良債権指標が悪化

香港株式市場および本土A株市場に上場している銀行銘柄の2014年1-9月期決算は、純利益総額が前年同期比9.7%増の9710億元に達した(重慶農村商業銀行(03618)、北京銀行(600169)、中国光大銀行(06818)を除く)。7-9月期では同7.6%増の3110億元となり、ほぼBOCIの予想通りの水準だった。手数料収入やその他非金利収入が予想を下回る中、セクター全体の経常収益はBOCI予想から小幅に下振れたが、純金利マージンは予想以上に堅調。一方、マクロ経済の減速を背景に、資産の伸びや健全性の点ではやや期待を裏切る内容となった。続く10-12月期について、BOCIはセクター全体の減益決算を予想。14年通期に関しては増益率が前年比7.5%に減速する見通しを示している。銀行銘柄にとってはこの先の政策緩和が支援材料になるとみられるが、BOCIは収益性の後退を理由に、銀行銘柄の再評価には期待しにくいとの見方。セクター全体に対する中立見通しを据え置いている。

BOCIは不良債権の増加傾向を受け、銀行銘柄全体の14年の予想増益率を前年比7.6%から7.5%に小幅に下方修正した。不良債権残高は7-9月期に前期比8.5%増加したが、これはBOCI予想の6.7%を超えるペース。不良債権比率は1.12%で、これも予想の1.09%より高水準だった。それぞれが多額の処理や移管を実施しているとは言え、7-9月期の関連指標は不良債権リスクの高まりを示唆するものとなった。

9月末には預金の増加ペースが前期比で縮小し、資産伸び率はほぼ前期並み。資産/自己資本比率は15.19倍と前期の16倍から低下し、銀行システムにおいて一定のデレバレッジ(レバレッジ解消)が進んだことを伺わせた。BOCIは資産伸び率について10-12月期末の回復を予想しながらも、長期的には縮小に向かう可能性を指摘している。

純金利マージン(NIM)は貸出利回りの低下を受け、7-9月期に2.5%と、前期の2.51%から小幅に低下した。BOCIは10-12月期についても小幅の低下を見込んでいる。

一方、7-9月期の手数料収入はBOCI予想を下回ったが、これは主に、中国政府の中小企業支援策を受けたコンサルティング料の低下によるもの。その他の非金利収入も、主にトレーディング収入や為替収益の減少を受けて予想から下振れた。BOCIは資産運用商品の販売鈍化などを理由に、手数料収入伸び率の減速トレンドが続くとみている。

香港上場銘柄の中では、BOCIは引き続き招商銀行(03968)に対して強気であり、その理由としてリテールファイナンス業務に強みを持つ点を挙げている。また、中国建設銀行(00939)に関しては収益性を高く評価し、他の大手行をアウトパフォームすると予測。このほか、重慶農村商業銀行(03618)の株価の先行きに対しても強気見通しを示している。