10月7日
ソーラーファームから分散型にシフト、川下の設計・施工銘柄に有利

中国の国家エネルギー局は最近、分散型の太陽光発電システムを対象とした支援措置を打ち出しているが、これは中国国内のみならず、世界的なトレンドを示唆している(分散型は需要地に近隣する小規模設備)。今後は分散型の新規導入ペースがソーラーファーム(太陽光発電所)を上回る見込み。BOCIは世界全体の分散型の新規導入量について、13-16年に年率平均19%の伸びを予測し(うち中国は同33.7%増)、太陽光発電全体の同9%増を大きく上回るとみている。また、15年の需要減速リスクに言及した上で、まずは14年下期の製品価格の上昇が投資機会につながると指摘。業態別では川下のEPC(設計・調達・施工)事業者や、一段のコスト削減余地のある川上メーカーが投資選択肢になるとした。セクター全体に対しては中立見通しを示し、個別では中国興業太陽能技術(00750)をトップピック銘柄としている。

世界の太陽光発電需要がソーラーファームから分散型にシフトするとみられる理由の一つは、固定買取価格の引き下げや買取制度自体の取り消しといった各国当局による制度の見直し。欧州、日本、米国、中国ではすでに、太陽光の均等化発電原価(LCOE:導入に伴う全コストを生涯発電量で割った値)が電気料金を下回る水準にあり、これが市場環境の変化を促す見通しという。BOCIは政策支援をあてにした従来の投資主導型の普及モデルが、今後は消費者主導型に転じる可能性を指摘している。

中国政府による分散型の普及支援は始まったばかりだが、南東部を中心に分散型の新規導入を目指す政策方針は鮮明。BOCIは国内での普及でいくつかの障害があるものの、新規導入量の伸びを見込み、15年、16年は前年比33%増、25%増を予測している。

BOCIは分散型の成長を見込みながらも、世界の太陽光発電需要については15-16年に2-9%増にとどまるとみている。英国、日本での需要後退に加え、中国、米国での需要減速が見込まれるためで、中でも大きなリスク要因として世界2位の巨大市場、日本での需要委縮を挙げた。原発の再稼働や土地不足、送電インフラ面での制約により、日本での需要は15年、16年に前年比22%、14%落ち込む見通しという。

一方、太陽光システムの部材価格は14年下期に上向く可能性が高い。多結晶シリコンの下期の需要は上期を63%上回るとみられ、これに伴い、1kg当たり価格が24米ドルに回復する見込み。ただ、BOCIは15年に息切れする可能性に触れ、多結晶シリコンメーカーへの投資においては一段のコスト削減余地がカギになると指摘している。

BOCIは個別では、分散型の新規設置ブームによって最大の恩恵が見込める中国興業太陽能技術に対して強気見通しを示している。同社が中国国内で唯一実績を持つ分散型の有力EPCプロバイダーである点を指摘した上で、強力な販路や政府当局との良好な関係などを前向きに評価。14年、15年に前年比29%、28%の利益成長を予想している。