6月3日
5月のカジノ収入伸び率が9%に減速、当面のV IP部門低迷を予想

マカオの5月のカジノ総収入はVIP部門の低迷を受け、市場予想を下回る前年同月比9.3%の伸びにとどまった。BOCIはVIPカジノ収入がマイナス成長局面を迎えたとみている。続く6月にはサッカー・ワールドカップの開幕がカジノ総収入の伸びに影響する見込み。また、中国最大の決済システム「銀聯」カードの不正利用に対する対策強化やカジノホールでの全面禁煙措置が市況にどう影響するか見極めるため、投資家が様子見に回る可能性があるという。カジノ銘柄の株価はここ2-3カ月調整しているが、BOCIは5月のカジノ総収入の低迷がこの先、利益見通しの下方修正を招く可能性に言及している。

5月のカジノ総収入は前年同月比9.3%増の324億パタカ(1パタカ=約0.99HKドル=約13.0円)。市場コンセンサス予想およびBOCI予想は同13-15%増と、5月上旬時点の18%増から下方修正されたが、実際には修正後の予想をさらに下回る形となった。一般客部門のカジノ収入が前年同月比30%の伸びを維持したと仮定した場合、VIP部門の同収入は11%落ち込んだことになるという。カジノ総収入の減速はこれで3カ月連続であり、BOCIはVIP部門の低迷が当面続くとみている。なお、1-5月のカジノ総収入は前年同期比15.8%の伸びだった。

HSBCが集計している中国のPMI(製造業購買担当者景気指数)は5月に49.4と、4月の48.1から回復したが、中国国内の不動産市況は依然低迷している。BOCIはカジノ収入に占める不動産関係者の割合がおよそ4割に上るとみて、不動産市況の悪化がカジノ市況に大きな影響を及ぼすと予想。PMIの回復によるマカオVIP市況の改善は期待しにくいと指摘している。続く6月は例年閑散期に当たるが、今年はW杯ブラジル大会が開かれている関係で例年以上に低迷する見込み。ちなみに4年前の南アフリカ大会当時、カジノ総収入は前月比20%減少した。 また、マカオ政府による未登録「銀聯」カードの利用に関する規制強化(7月1日付で発効見通し)が一般ハイエンド客の消費に影響し、カジノ総収入を圧迫する可能性が出ている。カジノ経営者らは不正の一掃に協力するとしているものの、詳細はまだ明らかにされていない。さらに2014年10月にはカジノ内での全面禁煙措置が発効する運び。カジノ事業者6社には3カ月以内のフロアプランの提出が義務付けられており、BOCIは一般客フロアの収益に影響が出る可能性を指摘している。 一方、観光当局によれば、マカオの旅行者受け入れ数は14年に前年比5%以下の伸びにとどまる見込み。BOCIは刺激材料の欠如から当局の慎重見通しを支持し、カジノ総収入の減速が今後も続くと予測した。また、カジノ銘柄の株価はここ2-3カ月調整しているが、BOCIは収入減速見通しが全面的には織り込まれていないと指摘している。