5月20日
「車両登録制限」導入観測で駆け込み需要、短期的に新車販売押し上げへ
中国の4月の乗用車販売はBOCIの予想をやや上回る水準に達した。主要都市部(2級都市)の地元政府による「車両登録制限」の導入観測で一種の駆け込み需要が発生し、4月の販売増に寄与したもよう。BOCIはこの要因が短期的に新車市場を刺激すると予想しながらも、中長期的には成長減速要因になるとみている。閑散期に当たる今後3カ月間の販売台数については、前月比で減少トレンドを示すと予想。自動車セクター全体に対して中立見通しを継続した。
中国の新車販売台数は4月に前年同月比8.8%増。うち乗用車販売は同11.6%増加し、3月の同7.9%増から加速したが、商用車は同1.3%の落ち込みを示した。1-4月の累計では、新車販売台数は前年同期比9.1%増。乗用車、商用車がそれぞれ同10.5%、同3.3%の伸びとなった。
4月には車両タイプ別に明暗を分け、SUVとMPVがそれぞれ前年同月比36.4%、54.3%急増する半面、セダンは同5.6%の伸び。ミニバンに至っては同12.0%減少した。
また、4月には中外合弁ブランドに押される形で、中国の独自開発車種である自主ブランド車の苦戦が続いた。自主ブランドの乗用車販売は同4.5%の伸びで、セダンに限ると同12.9%減。1-4月の累計で見ても、乗用車市場、セダン市場における自主ブランド車のシェアは38.7%(4.1ポイント低下)、22.7%(5.8ポイント低下)に後退した。一方、合弁ブランドに目を向けると、ドイツ系、フランス系の販売台数が4月にそれぞれ前年同月比23.5%増、同37.1%増と市場全体を上回る伸び。1-4月ではドイツ、フランス、米国、韓国ブランドがそれぞれ24.7%、22.4%、15.7%、10.1%増加した。
個別に見ると、1-4月の販売伸び率が市場全体を最も大きくアウトパフォームしたのはブリリアンス・チャイナ(01114)の合弁生産BMWで、前年同期比37.0%増。香港上場銘柄ではほかに、広州汽車集団(02238)と東風汽車集団(00489)がそれぞれ同16.8%、同16.5%の伸びを示した。逆に市場全体をアンダーパフォームしたのは長城汽車(02333)、吉利汽車(00175)、BYD(01211)で、それぞれ同1.0%減、同33.2%減、24.5%減だった。
4月の輸出台数は前年同月比12.7%減、前月比8.6%減の7万8100台にとどまり、1-4月も前年同期比9.3%減と低調。BOCIは輸出の先行きに慎重見通しを示している。
BOCIによると、セクター全体のリスク要因はマクロ経済動向や、予想以上の需要委縮を受けた価格競争の可能性、車両登録制限に踏み切る都市がこの先続出することなど。個別では利益見通しが明確な銘柄やバリュエーションが低い上に配当利回りが高く、安定感の強い銘柄を選好。高級車市場の好調を追い風とするブリリアンス・チャイナ(01114)と、部品メーカーのネクスティア(01316)をトップピックとしている。