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「2015年米国経済・株式相場の見通し」(2)
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

「2015年米国経済・株式相場の見通し」(2)

2015/2/25
これは去る1月18日、横浜にて開催された楽天証券新春講演会2015で講演させていただいた内容を要約したものです。
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これは去る1月18日、横浜にて開催された楽天証券新春講演会2015で講演させていただいた内容を要約したものです。

2000年のITバブル崩壊以降、アメリカ株式の株価収益倍率は概ねコンスタントに縮小してきました。S&P500指数の株価収益倍率は1999年の30倍を最高値として縮小に転じ、2011年には12倍を付けるにいたりました。そして2012年以降、株価収益倍率は拡大に転じ、2014年末には18倍近くにまで拡大しています。言うまでもなく、株価収益倍率は投資家の期待を示すものです。投資家の期待が高ければ高いほど株価収益倍率は拡大しますが、低ければ縮小します。それでは何故、2000年から2011年までの間、株価収益倍率は縮小してきたのでしょうか。

2000年から十数年間はアメリカ経済にとって大きな試練の時期でした。ITバブル崩壊に始まり、同時多発テロや金融危機といった「100年に一度」級の危機が2つも起こったほか、不正会計問題、イラク戦争、金融危機、米国債デフォルト危機等々、懸念材料という点では枚挙にいとまがない時期でした。自ずから投資家としても株式に期待を膨らませられるような状況ではなく、それが株価収益倍率の縮小という形で市場に表れてきたのです。

しかし2012年を境に、私はアメリカ経済はこの辛かった十数年と決別したと考えています。アメリカは上記のような試練に見舞われる度に経済をサポートするため財政政策を発動してきましたが、2012年末に問題となったいわゆる「財政の崖」や2013年の米国債デフォルト危機は、いわばそのような試練の総決算だったということです。そして案の定、2013年春にアメリカ株式相場はそれまで長く抜けられなかった高値をしっかり越え、現在新たな大きな上昇局面に入っている、投資家の期待が回復するに伴って株価収益倍率も拡大を始めた、という段階だと考えています。

過去の、8%を超えるような超高金利時代を除けば、S&P500指数の歴史的な株価収益倍率は平均20倍前後です。しかも現在、着実な株価収益倍率拡大局面にあることを考えると、今年についても一桁台後半の株価収益倍率拡大を見込むのは自然だと思います。また景気が着実に回復局面にあることから、企業の利益成長率についても、一桁台後半が見込めると考えています。これら一桁台後半の利益成長率と株価収益倍率拡大をあわせて、今年は16%程度、S&P500 指数で見て2,400程度までの株価上昇を予想しています。

さらに足元でも、先行き株価に対して非常に強気のシグナルが出ています。アメリカ株式相場は2014年10月及び12月に下値をトライしましたが、いずれも跳ね返されています。1月に入ってもS&P500指数が2,000を下回るのはごく数日の話です。要するに、相場は下値に行くのを嫌がっているのです。市場では欧州債務危機の再燃、エネルギー価格の下落、企業業績に対する懸念、量的緩和の終了等、様々な懸念材料が挙げられていますが、「市場が恐れる8つの“E”」で申し上げた通り、いずれも本質的な相場の下げ要因ではないので、下がらないのは当たり前なのです。そして当然ではありますが、過去を溯って見てみますと、このように市場が数カ月にわたって連続して下値を嫌がった後には、かなり高い確率でその後大きな上昇相場が訪れているのです。このような理由から、私は今年もアメリカ株式はとても魅力的な運用対象だと考えています。

このような状況にもかかわらず、私が特に近年気になっているのは、皆さんにこうした情報がしっかり伝わっているかどうか、ということなのです。というのはむしろここ数年、日本の皆さんには、アメリカ経済に対してネガティブな情報はたくさん伝わるものの、ポジティブな情報がなかなか伝わっていないと感じることがとても多いからです。私はしばしば「あの人はアメリカ株のファンドマネジャーだから強気なことを言っているのだ」と誤解されることがあります。しかし率直に申し上げて、私は買いも空売りも行うヘッジファンドのマネジャーですので、自分の考えを曲げてまでアメリカ株を強気に言うメリットなど何もありません。単に我々の分析結果を日本の皆さんにシェアし、役立てていただきたいだけです。

一方で特にここ数年顕著なのは、メディア間の競争の激化です。「何故メディアの情報を鵜呑みにしてはならないか」で申し上げた通り、今やメディア間の視聴者や購読者、利用者、クリック数を奪う競争は熾烈を極めており、人間の心理を利用してネガティブな情報を優先して伝えないと、視聴率もクリック数も稼げなくなっていているのです。身近な例で申し上げれば、アメリカで何らかの危機(最近では米国債デフォルト危機)が起こったり、株価が大きく下落したりすると、私はメディア関係の方から沢山インタビューや出演依頼をいただきます。一方でアメリカの株価が最高値を更新しても、そのようなことは全くありません。長年このようなパターンを見ていると、皆さんのもとには、アメリカ経済に対して悲観的な、アメリカ株式投資を躊躇させるような情報ばかりが伝わってしまっているのではないかと心配になってしまいます。

このような状況下では、皆さんはタダ、又はタダ同然の情報をご覧になる場合、それらの多くは広告収入に頼ったビジネスから来ているので、利用者やクリック数を増やすためにネガティブな情報が多くなっているという傾向を予め認識しておく必要があるということです。そうでないと、特にここ数年は顕著ですが「アメリカ株に投資しようと思ったのに、あの記事・番組を見て思いとどまってしまった」という勿体ないことになってしまいます。その間のアメリカ株の値上がり益は「リスクを取らないリスク」として皆さんが負担することになったわけですが、当然のことながら、メディアはそのような機会損失を弁償などしてくれません。

(2015年1月18日横浜にて)

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