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市場が恐れる「8つの“E”」
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

市場が恐れる「8つの“E”」

2014/10/21
先週15日、ダウは一時16,000ドル割れ、S&P500指数が1,820まで売り込まれる展開となりました。この要因について、市場では色々挙げられていますが、私は大部分が需給要因によるものと考えています。
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先週15日、ダウは一時16,000ドル割れ、S&P500指数が1,820まで売り込まれる展開となりました。この要因について、市場では色々挙げられていますが、私は大部分が需給要因によるものと考えています。要するにここ2年以上、10%規模の調整が無かったとか、10月末はアメリカの投資信託の決算が集中していて損益通算の売りが出やすい等。私は普段「ヘッジファンドが~」で始まる記事ほどいい加減なものは無いと思っていますが、実際、知人のヘッジファンドでも11月末の解約が多目に出たようで、それに応じてポジションを減らさざるを得なかったと聞いています。

しかし幽霊と同じで、市場は見えないものを怖がる傾向があります。「需給要因」では納得せず、はっきりした下落要因がないと安心しないのです。それ故に今回も、実際には気にしなくて良いような様々な要因が挙げられています。そこで今号では、敢えてそれら要因を以下「8つの”E“」としてまとめ、それらが本当に相場の下落につながる本質的問題なのかどうか、私の考えをお示ししておきたいと思います。

8つの“E”

1.Ebola:エボラ出血熱

生物である人間にとって、命にかかわる情報は最も心理的影響が大きく、市場で言えば過剰反応に発展しやすい性質を持っています。伝染病は「目に見えない」ため尚更で、過去、炭疽菌 、SARS、鳥インフルエンザなどは多かれ少なかれ市場に影響を与えてきました。ただ空気感染しないエボラ出血熱の患者が医療先進国の病院で隔離され、ホワイトハウスが対策に乗り出している以上、過去の伝染病と同じく、既に「反応しすぎるリスク」の方が大きくなっているように見えます。

2.Earning:業績

現在、米企業7-9月期の決算発表が本格化しています。事前に予想がやや引下げられたのは確かですが、先週末までに決算を発表したS&P500指数採用企業のうち、71%が事前予想を上回っています。これは過去の決算発表シーズンと比べても全く遜色の無い割合であり、決算を株価下落要因の一つとするのは無理があります。

3.Europe:ヨーロッパ

ヨーロッパ経済の減速は既に様々な経済指標に表われています。確かに数年前までであればS&P500指数採用企業の売上全体に占めるヨーロッパの割合は10-15%ほどありました。しかし直近の2013年ではこの割合は6.8%に低下しています。恐らく市場は、ヨーロッパから受ける影響を実際よりも過大に評価していると思われます。

4.Economy:景気

ニュースでは、15日に発表された9月の小売売上高が株価急落の一つの要因とされました。しかしもともと変動のある指標である上に、前月比マイナスとなった大きな要因はガソリン価格の下落によるものです。車社会であるアメリカでは、これはむしろ今後、消費に大きな追い風となる可能性が高くなります。また先行指標を含め、他の経済指標も概ね堅調です。

5.Energy:エネルギー

以前テレビでも申し上げましたが、私は原油価格は中長期的に下落方向に向かうと考えています。ここ数年、OPEC加盟国の石油産出量が殆ど変わらない一方で、シェール革命の影響で、アメリカやカナダの産出量が急速に増加し、需給関係に構造的な変化が生じてきているからです。この影響を受けて最近、比較的損益分岐点の高い石油関連企業の株価下落が目立つのは確かですが、中長期的にはアメリカの消費者に及ぼす好影響の方がずっと大きい事を忘れてはなりません。

6.Election:(中間)選挙

アメリカでは来月初、中間選挙が実施されます。中間選挙については前号をご参照下さい。選挙というのは市場にとって不透明要因の一つですので、そういう意味では選挙前の10月は少しは影響を受けたのかもしれません。しかし2週間後にはこのマイナス要因は無くなり、その後はむしろ、中間選挙後特有の非常に強い相場が期待できることになります。

7.(Quantitative) Easing: 量的金融緩和の終了

量的金融緩和第一弾、第二弾の終了を前後して、いずれも株式相場が下落したことから、今回も第三弾の終了を前にして下落、という説もあります。しかし今回は第三弾の終了を前にしても年初からずっと10年物米国債利回りは低下しており、むしろ株式の割安が目立ってきています。さらに重要なことは、第一弾、第二弾とも、そもそも経済がそれほど良くなっていない時点での終了であった点で、今回とは異なります。また利上げはまだかなり先の話だと思いますが、歴史的に、株式は利上げ局面の方が上昇しやすいことを忘れてはなりません。

8.(Middle) East: 中東の地政学的リスク

8つの“E”の中で、この地政学的リスクだけが何とも予想し難く、分析が困難なものだと思います。しかし考えてみれば、特に今年は新興国に始まり、ウクライナ、イラク、パレスチナ、香港と、中小規模の地政学的リスクがあちこちで頻発していて、既に市場にはかなり織り込まれてきていると考えられます。株式に投資する限り、これは避けて通れないリスクであり、この要因については腹をくくるしかないでしょう。リターンはリスクと表裏一体の関係にあります。リスクを避けるためにリターンも諦めるか、それともリターンを得るためにこのリスクを取るか、これは皆さんの判断に委ねるしかありません。

(2014年10月19日記)

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