5月25日
政策支援を追い風にセメント需要が回復基調、地域別格差で銘柄選別が重要に

中国政府は景気底上げに向けて建設プロジェクト認可や公共インフラ投資を加速させており、BOCIは短期的にこうした政策がセメント・セクターの支援材料になるとみている。ただ、中国では地域別にセメント市況が異なるため、個別銘柄の主力市場の需給を見極める必要があると指摘。セクター全体に対し中立的な見方を継続した上で、個別では山水セメント(00691)、中国建材(03323)、中国中材(01893)を選好している。

BOCIによると、金融緩和や財政緩和、固定資産投資の加速といった景気刺激策を受け、1日当たりセメント出荷量は業界全体で上向いており、この先も安定的な伸びが続く見通し。例えば有料道路建設投資は今年1-4月に前年同期比の減少幅が縮小。うち東北部は地域別で唯一、前年同期25.1%のプラス成長を確保した。BOCIは今年の固定資産投資の回復により、南西部が最大の恩恵を受けるとみている。

4月単月の鉄道固定資産投資は前月比72%増。今年通年の投資目標を達成するためには5月から12月までの月次投資額が1-4月の平均値(2009年の月次平均並みとなる月間510億元)比で倍増する必要があり、目標到達には困難が伴う見込み。ただ、いずれにせよ、鉄道投資は財政支援を受け、下期に段階的に上向く見通しという。

住宅開発投資は予想より緩やかながらも減速傾向に転じたが、BOCIは公共住宅開発に当たる「保障性住宅整備事業」が来年急速に進むとみている。すでに着工した保障性住宅1700万戸が、来年には建設ピーク期を迎える見通しという。

セメント需要は今年、政策支援下で回復に向かうとみられるが、BOCIは地域別で、安徽省、新疆ウイグル自治区、湖南省、河南省、貴州省のセメント市場に対して慎重な見方。一方、東北部や北部では新規生産能力の増大ペースが限られると予測し、省別では山東省の市況を有望視している。

個別では安徽コンチセメント(00914)の2012-14年の予想純利益を11-13%下方修正し、同社株価の先行きに対して中立的な見方を示した。また、中国建材に関しても平均販売価格の想定値引き下げに伴い、2012年の予想純利益を22%下方修正。一方、山水セメントについては2012-14年の予想純利益を3-9%引き下げながらも、同業銘柄の中では減益率が最も小幅にとどまるとみて、セメント銘柄のトップピックとした。このほか、華潤セメント(01313)の2012-14年の予想純利益を12-21%下方修正し、中立的な見方を継続。中国中材については新疆ウイグル自治区での供給過剰が2014年まで続くと予想しながらも、北西部のその他エリアの市況を相対的に楽観。中国政府による西部開発政策が潜在的な支援材料となる見通しを示した。また、西部セメント(02233)はカバー銘柄の中で唯一、2012年通期に増益を確保する見込み。ただ、7-9月期には製品価格の上昇が一服するとみて、短期的な支援材料にやや欠けるとの見方。