4月20日「中立」
11年決算レビューおよび12年1-3月期予想、銀行と保険・証券、明暗分ける

中国金融セクターの2011年12月本決算は、銀行が好調を示した一方、保険および証券は市況停滞のあおりを受け低調だった。商業銀行は金融引き締め策の恩恵により、上場12行の11年純利益は合計で前年比28.8%増の8415億元に上った。貸出残高の伸びと利ざやの拡大、手数料収入の伸びが業績をけん引した。ただ、11年10-12月期の不良債権比率は前四半期比で上昇し、同残高も増加。景気減速で銀行の資産内容は悪化している。12年1-3月期は利ざやが融資のリプライシングや預金準備率の調整などで支えられる一方、短期金利の低下による悪影響も受ける見通し。12年1-3月期の純金利マージンは前四半期比横ばいか、若干の上昇の可能性もあるとBOCIは指摘している。また、手数料収入の伸びは大幅に減速する見通しだが、資産内容については深刻な悪化は見込まれないとしている。これらを踏まえ、BOCIは12行の12年1-3月期の純利益を前年同期比19%増と予想した。

5大保険会社の11年の純利益は前年比15%減の560億元。減益要因は主に生命保険料収入の減少と運用収益の大幅な悪化。12年1-3月期の業績については前四半期比で改善がみられるものの、一部銘柄の利益は前年同期比でマイナス成長になるとBOCIは予想している。

証券会社は市況低迷で仲介業務および投資業務が打撃を受けた。上場9社の11年12月本決算は純利益が前年比15%減の190億元。12年1-3月期は上海総合指数が2.87%上昇し、1日当たりの売買高にも回復がみられるが、これは前年の同時期にもみられた傾向であり、証券会社の月次統計報告によれば、12年1-3月期の利益は前年同期を下回っている。

銀行セクターの株価動向は過去数カ月間市況をアウトパフォームしている。政府の金融緩和策で向こう1-2カ月はこの傾向が続くとみられるが、貸倒れリスクの拡大と純金利マージンの縮小を背景に利益の伸びは大幅に減速する見通し。A株上場銀行の株価は12年予想PER6.54倍、PBR1.12倍の水準で取引されており、割安かつディフェンシブ性が高い。一方、H株上場保険4社の株価は12年予想PER18.72倍、PBR2.57倍。損保の中国人民財産保険(02328)を除いた3社の株価EV倍率、株価アプレイザルバリューはそれぞれ1.57倍、0.77倍と、長期的にみれば魅力的なバリュエーションだが、保険料収入の伸び悩みと厳しい運用実績が重しとなっている。証券会社の株価は12年予想PER37倍、PBR2.49倍で取引されている。証券セクターは市況停滞により今後さらなるバリュエーションの低下が見込まれる。

BOCIは引き続き中国民生銀行(01988)、上海浦東開発銀行(600000)、中国建設銀行(00939)を選好。12年1-3月期の好業績とバリュエーションの低さから中信銀行(00998)も短中期的な推奨銘柄に挙げている。