9月22日 「中立」
製品需要に下振れリスク、2011-13年の予想伸び率は5-9%

BOCIは向こう2年間のセメント需要の下振れリスクを指摘し、セメント・セクターに対する従来の強気見通しを中立的な見方に引き下げた。セメント銘柄の株価はここ数カ月で大きく値下がりしたが、◇固定資産投資の伸び率減速見通しがすでに株価に織り込まれたのか◇どの程度の下値余地があるのか――などの疑問が残されている。こうした中、BOCIはセメント銘柄にとっての最悪のシナリオを想定した上でストレステストを実施した。個別では安徽コンチセメント(00914)、華潤セメント(01313)の株価の先行きに対する見方を中立的に引き下げる半面、中国建材(03323)、山水セメント(00691)に対する強気見通しを継続し、中国建材をトップピックとした。西部セメント(02233)に対しては中立見通しを維持している。

中国国内では鉄道建設、道路建設を含む固定資産投資の伸び率減速がすでに鮮明となっており、BOCIは2012年後半あるいは13年には不動産開発投資の大幅な落ち込みが始まるとの見方。11-13年のセメント需要の予想伸び率をそれぞれ前年比9%、6%、5%に下方修正した。また、セメント価格が10-12月期に堅調推移しても、相場がマイナス材料に反応しやすい現状下では、短期的にはセメント銘柄の大幅な株価回復には期待しにくいと指摘している。

BOCIはセメント需要の減速見通しを受け、各銘柄の利益見通しを下方修正した。粗利益率は11年にピークに達するとし、12年以降は各社決算が減益に転じると予想。川下需要の低迷などから、販売量も落ち込むとみている。

ただ、BOCIはその一方で、同セクターのプラス要因として供給量の減少見通しや業界統廃合の進行に言及。当面は支援材料に欠ける中、レンジ取引あるいは不安定な値動きが続くとしながらも、国内の引き締め緩和や水利プロジェクトがセメント銘柄の再評価につながる可能性を指摘している。3月に始まった水利プロジェクトは投資額4兆元規模で、向こう10年間にわたって続く見通し。BOCIは固定資産投資が1兆元増加するたびに、セメント生産量が3億トン拡大すると分析し、水利プロジェクトのセメント所要量が12億トンに達する見通しを明らかにしている。

BOCIはストレステストにおいて「12年に平均販売価格が10%下落する」との最悪のシナリオを想定した上で、各銘柄の直近終値の12年予想PERを算出。この数字と、BOCIの従来予想に基づく中期予想PERとのかい離に基づき、各銘柄の一段の下落リスクを比較した。それによれば、中国建材の直近株価はすでにこのシナリオに基づくマイナス材料を織り込み済み。また、その他の業務指標を比較した上で、中国建材、山水セメント、安徽コンチセメント、華潤セメント、西部セメントの順にランク付けしている。