9月30日 「中立」
生保保険料収入が引き続き低迷、1-9月期に中国人寿保険の2桁減益を予想

中国では損保部門の保険料収入が安定的な伸びを維持する一方、生保の保険料収入が引き続き低迷している。市中金利や資産運用商品の利回りはやや低下しているが、中でも保険商品の利回りは相対的に低水準にあり、BOCIは今後も生保保険料収入の低下圧力が続くとみている。2011年1-9月期決算では、中国人寿保険(02628)が前年同期比で20%の減益となり、中国平安保険(02318)、太平洋保険(02601)に関してはそれぞれ41%、38%の増益を予想。保険セクター全体に対しては中立的な見方を継続している。

中国保険業監督管理委員会(CIRC)の最新統計をみると、国内業界全体の総保険料収入は1-7月に9055億2000万元。うち損保は前年同期比16.6%増の2726億5000万元。生保は6328億7000万元。新基準をベースとした場合、生保の保険料収入は5714億8000万元となり、7月単月では前月比23%減の561億8000万元にとどまった。

生保3銘柄の最新業務統計をみると、1-8月の生保保険料収入の伸びはいずれも減速傾向にあり、中国人寿保険、中国平安保険、太平洋保険がそれぞれ前年同期比4.1%増、33.2%増、9.3%増(新基準に基づく)。1-7月の伸び率をそれぞれ1.1ポイント、2.0ポイント、0.9ポイントの幅で下回った。

一方、中国の新車市場は8月に上向き、生産台数、販売台数がそれぞれ前年同月比9.0%、4.5%の伸びを示した。BOCIの調査によれば、需要ピーク期に当たる9-10月も新車市況の改善傾向が続く見込み。損保保険料収入は通年で15-18%増となると予想している。

CIRCによれば、7月末時点の保険業界の総資金残高は5兆2000億元となり、銀行預金が30.9%、国債運用が47.0%、株式・ファンド運用が13.9%を占めた。7月末には預金の比重が1.6ポイント低下する一方、国債投資の比重が1.2ポイント上昇した。【P8】BOCIはこの先、国債利回りの上昇を見込みながらも、国内経済の減速懸念から緩やかな上昇ペースにとどまるとみている。また、8-9月の国内株式相場の下落で、株式投資の損失計上を予想している。上海総合指数は6月末からこれまでに250ポイント(9%)値下がりした。

BOCIは保険料収入の伸び悩みや株式相場の調整を理由に、中国人寿保険の7-9月期決算が前年同期比20%の減益となる見通しを示している。一方、中国平安保険、太平洋保険については2桁増益を予想。うち平安に関しては相対的に高い保険料収入の伸びや前年同期の利益実績の低さを指摘し、7-9月期に44%の増益を予測した。太平洋については生保保険料収入の伸び率減速を損保部門がカバーし、7-9月期の同収入伸び率が12%に達するとの見方。同社が7-9月期に38%増益を達成するとみている。