8月23日 「オーバーウエート」
国際金価格の予想値を最大35%上方修正、金相場の高止まりを予想
国際金価格はすでにマーケットの予想を大幅に上回る水準で推移している。一部地域の政情不安や欧州債務危機の拡大、米国の景気減速見通しなど、世界経済を取り巻く不透明感が強まる中、金が資金の避難所となっていることが背景。年初からの金相場の値上がり率は33%に達した。BOCIは金価格に対する従来予想値が現在価格を25-50%下回ったとして、2011-15年の想定値を最大35%の幅で上方修正。世界的に旺盛な投資需要や中国およびインドの装飾品需要の拡大、金供給が需要を下回る見通しなどを背景に、金価格が引き続き高止まりするとの見方を示している。産金セクターのカバー銘柄の中では紫金鉱業集団(02899)の株価の先行きに対して強気見通しを継続し、招金鉱業(01818)、中国黄金国際(02099)に関する見方を中立から強気に引き上げている。
BOCIが新たに設定した11-15年の金価格に関する想定値はそれぞれ、1オンス当たり1575米ドル(修正前1420米ドル)、1800米ドル(1380米ドル)、1755米ドル(1300米ドル)、1320米ドル(1200米ドル)、1124米ドル(1050米ドル)。さらに長期予想値を従来の950米ドルから1000米ドルに上方修正した。
また、同時に銀価格に関する想定値を最大50%の幅で上方修正した。11-15年の新たな想定値は1オンス当たり36米ドル(修正前26米ドル)、33米ドル(22米ドル)、28米ドル(20米ドル)、25米ドル(18米ドル)、20米ドル(16米ドル)。長期予想値については現行の15米ドルに据え置いた。
BOCIは産金セクターのカバー銘柄を対象に、金相場の上昇に伴う利益上乗せ効果を予測するためのセンシティビティ分析を行ったが、それによれば、最も敏感度が高いのは招金鉱業。金価格が1%上昇するたびに、同社の11年通期利益が1.7%増加するとの結果が明らかになった(12年、13年ともに1.7%増)。ほかに中国黄金国際の利益上乗せ効果は1.1%(12年は1.2%、13年は1.0%)、紫金鉱業集団の場合は0.8%(12年は0.9%、13年は1.0%)。また、産金部門が12年1-3月期に操業を開始するとみられる国際資源集団(01051)については12年、13年の利益上乗せ効果が2.1%、1.4%に上るとの分析結果が示された。
金価格想定値の上方修正に伴い、BOCIは産金4銘柄の目標株価を引き上げ、中でも上値余地が大きいとみられる紫金鉱業集団を有望視している。また、招金鉱業に関しては金価格に対する敏感度の高さや、下期に国内での買収活動を活発化させる見通しなどを前向きに評価。中国黄金国際に対してはもともとの生産能力の低さから、この先の生産増強や買収が高い成長潜在力につながるとの見方を示した。国際資源集団については12年1-3月期に傘下の金鉱が稼働を開始する見通しを示し、具体的に操業時期が明らかになるまで様子見のスタンスをとるよう投資家に勧めている。