6月22日 H株「中立」、A株「中立」
日系メーカーの生産回復で新車販売の改善を予想、エンドユーザー需要は低調

日系合弁メーカーの段階的な生産正常化を受け、BOCIは中国国内の乗用車販売伸び率が6-8月に回復傾向を示すとみている。ただ、その一方で6-8月が新車販売の閑散期に当たることや、エンドユーザー需要の回復を示す明らかな兆しが見られないことに言及し、今後の需要動向をめぐって不透明感が残るとしている。また、商用車需要は依然低調で、商用車の販売不振が新車市場全体の重しになると予想。利益成長率が堅調な上場銘柄を推奨した上で、自動車セクターに対する中立的な見方を継続した。

中国国内の5月の新車販売台数は前年同月比4%減の138万3000台。乗用車がほぼ横ばい推移する半面、商用車は14.2%の落ち込みを示した。5月も東日本大震災による影響が続き、主要日系合弁メーカーが苦戦。乗用車販売伸び率(ミニバンを除く)をおよそ6ポイント押し下げた。非日系メーカーの乗用車販売は前年同月比9.4%の伸びをみせた。一方、1-5月の累計では、全体の新車販売は前年同期比4.1%増。乗用車が同6.1%増加し、商用車は2.1%減少した。

一方、在庫レベルは低下傾向にあり、全メーカーの新車在庫は5月末時点で66万1000台と、年初比で14万6000台縮小した。また、大手17社の1-4月の営業収入は前年同期比12.1%増の7734億4000万元と、1-3月比で2.8ポイント減速。利益総額は同22.7%増の820億9000万元と、1-3月から大幅に上向いたが、これは一部企業の投資収益の急増によるものとみられている。このほか、5月の自動車輸出は前年同月比53%増の7万2000台と、月次ベースで過去最高を記録した。

5月の乗用車価格指数は66.3と、前月比で0.7%低下した。これで1-5月の下落率は3. 3%に達した。BOCIは今後、日系合弁メーカーの生産回復に伴い、シェア挽回を目指すディーラーが販促活動に動くと予想。これに伴い、価格指数の下落圧力が続く見通しを示した。

BOCIは今年通年の新車販売に関する予想値を据え置き、セダン車、SUV、MPVについて、それぞれ前年比8%増、25%増、12%増を予測している。その半面、ミニバン販売台数は同6%落ち込むとの見方。ほかに商用車セクターのトラックが前年比横ばい、バスが同6%の伸びを示すとみている。うちトラックに関しては引き締め政策を背景に、今年いっぱい前年同月比の伸びが期待しにくいと指摘している。

個別では相対的に安定した利益成長が見込まれる銘柄として、A株の上海汽車集団(600104)、江蘇悦達投資(600805)、華域汽車系統(600741)、安徽江淮汽車(600418)を選好。商用車関連ではウェイチャイ・パワー(000338、香港02338)と鄭州宇通客車(600066)を有力視している。