4月20日
日本の電子部品の生産停滞、中国A株企業にリスクとチャンスが存在

中国A株市場の電子銘柄に対する日本の震災・原発事故による影響について、BOCIはリスクとチャンスが存在するとの見方を示している。川上の様々な材料や精密部品の生産に占める日本企業のウエートの高さから、供給面では大きな圧力が発生。世界的に電子製造部門のコスト増を招いているばかりか、エンドユーザー向けの販売にも影響が出ている。ただ、BOCIはこうした状況が高い技術力を持つA株上場企業の受注獲得チャンスにつながり、長期的には中国への技術移転および生産移転を加速させるきっかけにもなり得るとの見方。結果的にA株銘柄にプラスとなる見通しを示した。中でも部品メーカーの南通江海電容器(002484)、深セン順絡電子(002138)、厦門法拉電子(600563)などにプラス効果が及ぶ可能性を指摘している。

今回の震災は日本の電子製造業界に大きな影響を及ぼし、世界市場における各種主要部品の供給に打撃を与えている。原発事故とそれに伴う電力不足が、日本企業の生産正常化を阻む要因となっている。

震災による部品価格への影響はすでに出始めており、市場調査会社DRAMeXchangeの資料にはメモリーチップ価格の値上りが示された。こうした状況は直接、川下の電子メーカーのコスト圧力につながっている。

川下メーカーの多くが2-3カ月分の部品在庫を確保していることから、BOCIは2-3カ月以内に日本のメーカーの生産活動が正常化するかどうかが、川下企業への影響の度合いを決めるとの見方。仮に2-3カ月で正常化すれば、生産チェーンに及ぼす打撃は限られるとの見通しを示した。

震災の影響は特に、タッチスクリーン・メーカーのバリュエーションを圧迫している。iPad2を含むタブレットPCの主要部品の多くを日本企業に依存しているためで、実際、日本のこの分野の部品メーカーの多くが震災被害を受けた。ただ、A株市場ではこれまでのところ関連銘柄が過度に売られる状況はみられず、BOCIは投資家に対し、日本の復旧プロセスを見守るよう勧めている。

一方、BOCIは震災を受けた部品供給のひっ迫が、短期的に技術力の高いA株銘柄の新規受注獲得につながる見通しを示した。また、長期的にはさらに影響が鮮明になるとし、日本から海外への技術移転プロセスが加速する可能性に言及した。中でも中国企業に最大の恩恵が及ぶとみている。

BOCIはA株上場の受動部品メーカーを有望視し、個別では国内大手の南通江海電容器、深セン順絡電子、法拉電子の3銘柄に目を向けるよう投資家に勧めている。