逆張りのデメリットかつ順張りのメリットとは?
でも、業績の下方修正のアナウンス等は会社側から発表されておらず、ファンダメンタルに悪影響を及ぼしていると思われる明確な材料も見当たらないのに、株価が下げ止まらず1,000円が500円になってしまったらどうでしょうか。
このとき逆張りの投資家にとっては、1,000円の株価を割安と思って買ったにもかかわらず、そこからさらに50%も株価が値下がりしていることになります。
もしこの時点で投げ売りしてしまえば、投資金額の50%の損失が生じてしまいます。一方、売らずに保有を続けた結果さらに株価が値下がりし、そこから長期間株価が低迷すれば「塩漬け株」として多額の含み損を抱えた状態の株を持ち続けなければなりません。この銘柄に投資した資金は他に有効活用できず拘束されてしまうことになります。
でも、順張りであれば、株価が25日移動平均線を下回る間は下降トレンドのため新規買いしませんから、株価1,000円の時点での新規買いはもちろん行っていません。株価がさらに下がって500円になろうが300円になろうが、そもそも下降トレンドの銘柄は買わないため、損失を被る余地はありません。
つまり、株価が下落する中で新規買いしたもののそこからさらに株価が大きく下落した場合、損失が大きくなってしまう危険性が高い、というのが逆張りのデメリットです。順張りではそもそも株価下落途中の下降トレンドのタイミングでは買わないので、損失が生じる余地はありません。これがメリットとなります。
本当に大丈夫?株価が下がった銘柄を喜んで買う人たち
投資情報サイトの掲示板などをみていると、株価が大きく下がった銘柄につき、「買い時」とか「あと100円下がったら全力買い」、「ここからは資金が尽きるまでナンピン買い」など、株価下落を絶好の新規買いの機会ととらえている個人投資家が大勢存在することがわかります。株価が直近安値を割れようが、年初来安値を更新しようが特に関係ないようです。そもそも個人投資家は、株価が下がったら買うという逆張りの投資スタイルをとる人が大多数です。
でも筆者が問いかけたいのは、株価の大幅な下落が本当に「買い時」なのか、という点なのです。
筆者は株価至上主義ですから、大した悪材料もないはずなのに株価が大きく下がるということ自体おかしなことだと思っていて、「本当はファンダメンタルに重大な影響を及ぼす何かが起こっているのではないか」と案じてしまいます。
確かにファンダメンタルに重大な影響がないにもかかわらず、1,500円だった株価が500円にまで下落したならば、これはまさに大バーゲンセールといえます。でも、リーマン・ショック級の大暴落でのない限り、そもそもファンダメンタルに重大なマイナス要素がない銘柄の株価が果たして50%以上も下落するのか、というのが大きな疑問です。
もちろん、好業績が続く銘柄であっても高値を付けてから20%程度の調整はよくあります。高値がややバブル的なものだった場合は、30%程度下落することも珍しくありません。でも、ファンダメンタルのマイナス要素が全くないのに株価が短期間に50%以上下落するというのはそうそうありません。絶対にないとは言えませんが、50%も下落するのであれば、単なる株価の調整ではなく、「ファンダメンタルに何かマイナスの影響が生じている可能性が高い」と考えておくべきです。
株価下落の要因は単なる調整なのかファンダメンタルの悪化なのか?
そして株価が20~30%程度下落する、通常起こりうる範囲内の調整といえども、その中身は単なる調整というケースにとどまらず、ファンダメンタルの悪化を織り込み始めた途中経過であるという可能性も大いにありえます。
もしファンダメンタルの悪化が原因で株価が下げ始めているとしたら、高値から80%、90%の下落となってしまうことも決して珍しいことではないのです。
足元での株価急落の理由が単なる調整なのかファンダメンタルの悪化なのかはっきり分からないにもかかわらず逆張りで買い向かうというのは非常にリスクの高い行為です。
もし足元の株価の大幅下落が単なる調整であり、業績には何ら問題がないのであれば、早晩株価は上昇し、上昇トレンドに転換するはずです。無理に逆張りで買わなくとも、上昇トレンドへの転換を待ってから順張りで買えば、ファンダメンタルの悪化は起きていない可能性が高い状況で買えることになります。言い換えれば、順張りならば株価のさらなる下落に巻き込まれてしまうリスクを低減することが可能なのです。