短期・中期・長期のトレンドが全て下降トレンドになっている銘柄を選ぶ

筆者は日足チャートと25日移動平均線から、上昇トレンドか下降トレンドかを判断して売買のタイミングを計っています。しかし、実践上中期・長期のトレンドが上昇トレンドで短期だけ下降トレンドになっても、しばらくたつと再度上昇トレンドに復帰する銘柄が多いです。逆に、中期・長期のトレンドまでも下降トレンドになっている銘柄は、すでに中長期的な株価の天井をつけている可能性が高いです。そこで、株価が今後下落する可能性がより高い銘柄として、中期・長期のトレンドが下降トレンドの銘柄が短期のトレンドも下降トレンドに転じたタイミングで空売りを実行するようにしています。

売買高が少ない銘柄は避ける

いくら長期・中期・短期の全てのトレンドが下向きであっても、突如全面高の相場になったり、個別銘柄に好材料が出現して25日移動平均線を超えた場合は空売りを買い戻さなければなりません。このとき、売買高が少ない銘柄は簡単にストップ高になってしまい、買い戻すことができなくなる恐れが高いので、そもそも空売り自体を避けるようにします。

突発的な要因で株価が急上昇するリスクの高い銘柄は避ける

②とも関連しますが、例えばバイオ関連株やゲーム関連株などの銘柄は、下降トレンドが続いていても、突然の好材料発表によって何日もストップ高が連続することも珍しくありません。こうした状況でもし空売りを行っていたら、大きな損失を被ってしまいます。したがって、このような銘柄の空売りは避けるようにしています。

空売りができない・したくない個人投資家には「ベア型ETF」

ここまで申し上げてきたとおり、ロング・ショート戦略は信用売り(空売り)を行うことが必須条件となります。しかし、空売りを行うためには別途「信用取引口座」の開設が必要となります。信用取引はリスクが高いのでしたくない、という方も少なくないと思います。

個人的には、ポジションを膨らませ過ぎないこと、損切りをしっかりと実行すること、流動性が低い銘柄や突発的な上昇のリスクの高い銘柄を避けること、これらを順守していれば空売りもそれほどリスクは高くないとは思っています。それどころか、空売りを使うことができれば、上げ相場だけでなく下げ相場でも利益を得ることが可能となります。

それでもどうしても空売りをしたくないという個人投資家の味方となる銘柄があります。それが「ベア型(インバース型)ETF」を買うことです。

ベア型ETFは、例えば日経平均株価に連動するタイプなら、日経平均株価が下がるほどETFの価格が上昇します。したがって、このベア型ETFを買っておくことで下げ相場におけるヘッジの役割を果たしてくれます。

参考:「ブル・ベアETF」を上手に活用しよう!

上記コラムを執筆後、他のベア型ETFも続々上場しています。ベア型ETFの見分け方は、名称に「ベア」とか「インバース」という言葉が入っていますので、そこから見つけてください。

買い建てのポジション自体を減らすだけでも十分な対策となる

ただ、上記のベア型ETFは、日経平均株価やTOPIX、JPX日経400といった株価指数に連動するものです。個別銘柄と株価指数との動きは必ずしも一致しないということは、株式投資をある程度されている方であれば身をもって感じていることでしょう。

そのため、最悪の場合は、保有している個別銘柄が値下がりし、ヘッジのつもりで買ったベア型ETFも下がる(つまり日経平均株価などの株価指数は上がるが持ち株は下がる)という「股裂き状態」に陥るリスクはぬぐえません。

そこで、空売りもベア型ETFも使わない最もシンプルな方法として、単純に保有銘柄が下降トレンドになったら売却してしまえばよいのです。下降トレンドの間は株を保有しないようにするだけで、下げ相場での損失を極小化することができます。

なお、例えば日経平均株価が下降トレンドに突入したからと言ってすべての保有株を売却する必要はありません。現に、二極化相場では日経平均株価が下降トレンドにあるにもかかわらず、新高値を更新するような強い個別銘柄も少なくなかったからです。

あくまでも個別銘柄ベースで考え、25日移動平均線を割り込んだ保有株から順次売却していけばよいでしょう。こうすれば、25日移動平均線を割り込まない強い銘柄の利益をできるだけ伸ばすことができます。

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