「ゴーイング・コンサーン情報」とは何か

皆さんは、「ゴーイング・コンサーン情報」というものをご存じでしょうか。一言でいえば、その銘柄に倒産リスクが存在することを投資家に伝えるための情報です。

「ゴーイング・コンサーン」とは、日本語では「継続企業の前提」と表現されます。企業会計のルールは、「企業は将来に渡り半永久的に事業が継続する」という前提で定められています。しかし、企業の業績や財務状況などが悪化すると倒産リスクが高まってしまいます。そうした企業は、事業が継続されずに倒産するかもしれませんから、事業が半永久的に継続される前提で作られた企業会計のルールに基づいた決算書を作ること自体が間違った行為となりかねません。

そこで、倒産リスクの高い銘柄は、「我が社は倒産のリスクがある(このことを「継続企業の前提に疑義が生じている」といいます)が、今後も企業として継続することを前提とした会計ルールに基づき通常通りの決算書を作成しています」と決算短信や有価証券報告書で宣言することになっています。このことを「ゴーイング・コンサーン情報」といいます。

以下、このゴーイング・コンサーン情報が決算短信や有価証券報告書に記載されている銘柄をゴーイング・コンサーンの頭文字をとって「GC銘柄」と呼ぶことにします。

ゴーイング・コンサーン情報の記載方法は2通り

GC銘柄が、このゴーイング・コンサーン情報を開示する方法は2通りあります。

1つは決算短信や有価証券報告書の中の財務諸表に「注記」する方法です。もう1つが、決算短信や有価証券報告書の「リスク情報」の箇所に記載する方法です。

実は同じゴーイング・コンサーン情報でも、「注記」と「リスク情報への記載」とでは、その意味合いが異なります。

企業努力によっても倒産リスクを解消することができない場合は「注記」による開示、企業努力により倒産リスクを解消可能である場合は「リスク情報への記載」による開示が行われます。

つまり、ゴーイング・コンサーン情報につき「リスク情報への記載」がされている銘柄より、「注記」がされている銘柄の方が、事態はより深刻であることを表しています。

会社四季報では、前者(注記)のケースを「継続前提に疑義注記」、後者(リスク情報への記載)のケースを「継続前提に重要事象」と各個別銘柄の記事中に記載しています。その銘柄がGC銘柄であること、そしてどちらのケースで開示がなされているかがすぐ分かるようになっています。