3月22日 A株「中立」
物件取引は低水準で推移、デベロッパー各社の好決算が手掛かりに

中国国内の不動産市況にさほど変化は見られず、先週(3月14-20日)は大半の1級都市(大都市)、2級都市の物件取引が低水準で推移した。売り出し中の新築物件数も限られ、BOCIはデベロッパーが新築物件の分譲時期を先送りする可能性を指摘している。一方、物件価格はやや調整したが、BOCIは価格下落圧力は限定的との見方。また、今後もデベロッパー各社が相次いで好決算を発表するとし、業績を手掛かりに不動産銘柄が反発局面を迎える可能性に言及した。中でも2級、3級クラスの中小都市部に主要基盤を置くデベロッパーが相対的に力強いパフォーマンスを示すとみている。

BOCIが調査対象としている主要17都市の不動産取引面積は先週、前週比2.2%増の174万8000平方メートルだった。浙江省杭州市および四川省成都市の取引面積が最大の伸びをみせた。平均取引価格はやや低下し、杭州市と広東省深セン市で最大の下落幅を示した。

この間の関連政策動向および主要ニュースは以下の通り。◇中国人民銀行が年初から3度目となる預金準備率の引き上げを発表した(引き上げ幅は50ベーシスポイント)◇広東省仏山、山西省太原の両市政府が物件価格の抑制目標を発表した◇国家発展改革委員会と住宅・都市農村建設部が低価格賃貸住宅建設に350億元の予算を割り当てる方針を明らかにした◇国務院が福建省での経済開発区計画の再開に同意した◇新たな重慶市「二河川(Two River)開発区」計画が第12次5カ年計画の枠組みに正式に盛り込まれた◇上海万博跡地が上海市の大型開発計画に組み込まれた。

このほか、不動産セクターの企業動向は以下の通り。◇陽光城集団(000671)および万科企業(000002)が新たな開発用地を取得した、◇杭州濱江房産集団(002244)と上海陸家嘴金融貿易区(900932)が10年12月本決算を発表した、◇中信地産が吉林省松原市との間で200億元の投資に合意した。

不動産市場の沈滞ムードや二つの重要政治会議(全国人民代表大会、全国政治協商会議)の閉幕を受けた政策的な空白の後、BOCIはデベロッパーの好決算がセクター全体の買い手掛かりになっていると指摘。特に低バリュエーション銘柄が大幅に値上がりしているとした。BOCIは引き続き、上海世茂(600823)、広東海印集団(000861)、上海金橋出口加工区(600639)などの商業物件デベロッパーをトップピックとしている。また、セクター全般の反発を背景に、二級、三級都市部のデベロッパー銘柄の好パフォーマンスを予想。ほかに栄盛房地産発展(002146)、湖北福星科技(000926)、江蘇中南建設集団(000961)、魯商置業(600223)などに注目している。