3月22日
秦皇島の石炭価格は横ばい推移、短期見通しに不透明感

中国の主要石炭積み出し港・秦皇島における石炭価格と各種石炭坑口価格は先週(3月15-21日)、前週比で横ばい推移した。コークス価格は2週連続で調整。一方、供給のピーク期を過ぎたにもかかわらず、石炭運賃はこの1カ月間で33%上昇した。発電用炭需要は安定しているとみられ、価格は上昇傾向を示しつつある。鋼材価格は需要のピークシーズンを迎えて上昇したが、BOCIによると、短期的にコークス炭価格が一段と上向くかどうかは不透明。BOCIはまた、中国国内の信用引き締め策を背景に、セクター全般の上値余地が限られる可能性を指摘。リビア情勢の緊迫化が石炭銘柄の短期押し上げ要因になるとしながらも、主要トレンドとは異なる可能性に言及している。

キーポイント

  • 秦皇島の石炭価格は先週、前週比で横ばい推移し、石炭在庫は同1.5%減の774万トンへやや下向いた。また、各種石炭の坑口価格はほぼ前週並みの水準だった。
  • 鋼材価格は上昇したが、コークス価格は調整。コークス炭価格は横ばい推移した。鋼材需要のピークシーズンを控え、鋼材価格は値上がりしたが、BOCIはこの先さらに値上がりするかどうかは不透明との見方。同時に、コークス炭生産者が短期的に値上げに動けるかどうかも予想しにくいとした。ただ、仮に高速鉄道建設および低所得層向けエコノミー住宅開発に絡む鋼材需要が今年4-6月期に動きを見せた場合、コークス炭価格が上向くとし、関連銘柄が買われる展開を予想している。
  • 国会に当たる全国人民代表大会(全人代)と全国政治協商会議の閉幕後、山西省の石炭日産量は増加。3月21日までの週の平均日産量は204万トンと、前週を13%上回り、旧正月休暇中(日産102万トン)に比べて100%増加した。BOCIは二つの重要政治会議の閉幕に伴って同省の日産量が一段と上向いたとし、この先、昨年12月の高水準(日産260万トン)を超える可能性を指摘している。また、大秦鉄道の保守により石炭出荷が落ち込む可能性に触れ、これが短期的に山西省産の坑口価格を抑制するとの見方を示した。
  • BOCIは国内の引き締め策に加え、ファンダメンタルズ面での手掛かりに欠けることなどから、石炭銘柄の上値余地は今のところ限られるの見方。個別ではエン州煤業(01171)を香港上場銘柄のトップピックとしている。