1月19日 A株「中立」
政策逆風下で優良銘柄の好パフォーマンスに期待、健全な成長路線に転換へ
中国では2011年も不動産過熱抑制策が続く見通しだ。ただ、制度面の新政策の導入に伴い、不動産セクターは健全な成長路線に転じる見込み。需要に対する供給量の急速な伸びも物件価格の急騰を抑制し、取引件数や価格の安定推移に寄与する可能性が高い。また、顧客、資金、開発用地の獲得競争が激化する中、11年には業界再編が加速する見通し。BOCIは不動産セクターに対する中立的な見方を維持した上で、優良デベロッパー銘柄を有望視。様々な局面で、販売成績主導型の株価上昇が期待できるとしている。
不動産セクターのパフォーマンスは今年、前年を上回る可能性が高い。一段の下落余地が限られることや、優良デベロッパーの収益成長見通しがかなり明確であることなどが理由。BOCIによると、今年の投資テーマは短期のバリュエーション買いと優良銘柄に対する好業績期待の買いで、この二つが交互に訪れる見通しという。また、デベロッパー間の競争激化が見込まれる中、物件予約販売の伸びを材料に優良銘柄がセクター全般をアウトパフォームするとの見方を示している。
2011年にはインフレ、信用引き締め、利上げが中国のマクロ経済の焦点となり、不動産市場は引き締め策の影響を受ける見通しだ。しかし、予想以上の政策的な締め付けが行われる可能性は後退しつつあり、代わって保障型低価格住宅の大規模な建設や不動産税の導入、住宅賃貸などに代表される新たな不動産政策が、業界の長期発展を支える可能性が高まっている。
また、住宅物件需要に対する供給量の伸びも、不動産価格の過度の高騰を抑制する可能性が高い。これにより、民間住宅物件の取引規模は拡大し、デベロッパーによる不動産開発投資はある程度減速する見込み。BOCIは物件取引、物件価格ともに安定的かつ緩やかな伸びを示すシナリオが最も有力だとしている。
このほか、2011年には不動産業界の統合が進む見通し。その結果、業界大手がシェアを伸ばし、都市型総合デベロッパーがさらに存在感を増すとの見方が示されている。
一方、不動産セクターの今年のリスク要因は、高インフレを背景とした物件相場の急騰。こうした状況が発生した場合、中国政府は厳しい締め付けに動くとみられ、政策要因を受けた物件価格の急激な下落が販売縮小につながる可能性が生じる。
BOCIは不動産銘柄の選択に当たり、規模に優れた業界大手に加え、◇大都市部に主要基盤を置く◇開発用地の獲得において優位にある◇商品開発面で優位性を持つ――銘柄を選好。業界大手や主要ブランド・デベロッパーを有望視している。
また、長期投資視点では大手の万科企業(000002)保利房地産(600048)をはじめ、北京首都開発股フン(BCD:600376)、福星股フン(000926)、深セン華僑城(000069)を選好している。