1月11日 「中立」
風力発電銘柄に追い風、火力発電は石炭確保が懸念材料に

BOCIがカバーする公共セクター銘柄の先週の株価上昇率は、まちまちの展開となった。ハンセン指数は前週比で0.4%高、H株指数は同0.8%安。業界別ではガス銘柄がベンチマークに対して0.6%アウトパフォームした一方、IPP(独立系発電事業者)銘柄が1.2%、水道・代替エネルギー銘柄が0.3%、香港公共銘柄が0.6%、それぞれアンダーパフォームした。

ユーティリティーセクターの最新動向

 

  • 国家エネルギー局(NEA)が2011年末までに風力発電能力を55ギガワット(GW)に引き上げると発表。国家発展改革委員会(NDRC)によると10年末の風力発電能力は35GW。1年間に57%の増加率は市場およびBOCIの予想を上回る水準。これを受けてBOCIは風力発電の中国龍源電力(00916)にとってポジティブな要因になると指摘。最近発表された同社の営業データから判断すると10年度は好業績が予想される。
  • 国家電網公司が11年に前年比10.6%増の3220億元の設備投資計画を発表。高圧配電網の整備を加速する。これにより風力発電の送電量も拡大する見通し。
  • 中国で画期的な核燃料再処理技術が開発された。同技術により50-70年分とされていた同国のウラニウム資源を3000年分に延長できるという。20年までに原子力発電量を現在の10GWから86GWに引き上げるという国家目標の実現可能性が高まった。
  • 一方、火力発電は燃料確保が懸念材料。公共料金値上げが棚上げされた上、石炭価格高騰による山東省のIPPの業績悪化も火力発電セクター全体に影を落としている。
  • 石炭積み出し港・秦皇島の石炭スポット価格は1トン当たり785元と3週連続で前週比横ばい。山西省の坑口価格は8週連続で570元で推移。沿岸地域では在庫状況も問題なく輸送運賃は若干値下がりしているが、内陸部では深刻な石炭不足の状況にある。
  • 1月5-9日に行われた石炭契約交渉では、スポット価格と契約価格の価格差のため契約価格での石炭調達が年間9億3200トンと低水準に抑えられた。BOCIはこれを受け、IPPが今後石炭調達コストの上昇に苦しむと予想している。
  • 厳冬の影響により一部地域で電力供給が増し、陝西省などでは発電所の石炭在庫が3日分を切っている。石炭不足は一時的とみられるが、とりわけ山西省の炭坑で安全検査が実施される1-3月には価格高騰のきっかけとなりうる。
  • 華潤電力控股(0836)が2010-11年の石炭生産量を下方修正した。BOCIは市場が下方修正によるネガティブ要因をすでに織り込み済みと判断。同社の安定した経営状況と業界トップのROEを踏まえるとバリュエーションは低く魅力的と指摘した上で引き続き推奨銘柄に挙げている。
  • BOCIは鉛酸蓄電池の理士国際技術(00842)を同セクターのカバー銘柄に加えた。