1月11日 「オーバーウエート」
国策支援下で支柱産業の位置づけに、向こう10年間の「黄金期」を予想

設備製造セクターは国家戦略における重要産業であり、中国がハイエンドの製造分野で競争力基盤を構築するためのシンボル的存在となっている。国務院(内閣に相当)は「戦略的新興産業」振興策を打ち出したが、その一つがハイエンド設備であり、これに含まれるのは航空、衛星、鉄道輸送、オフショアエンジニアリング、スマート設備など。BOCIは向こう10年間、ハイエンド設備セクターが発展に向けた黄金期を迎え、中国の支柱産業としての役割を担うと予想。中でもサプライチェーンや製品付加価値の面で競争力を持つ企業や、業界参入障壁が高い分野の既存企業、さらに業界における重要度が高い大手企業などを有力視している。

ハイエンド設備のうち、航空設備分野はすでに明確に支柱産業の一つとなっている。国産リージョナル航空機ARJ21の開発がテスト飛行段階に入ったほか、大型航空機の開発プロジェクトも飛躍的に進み、大型民用ヘリC313の初飛行にも成功した。また、国務院は昨年10月1日の国慶節前に、低空空域管理に関する指針の改正を発表しており、これが今後の航空開発を支援する見通しとなった。

衛星設備セクターは航空宇宙開発において重要度が高く、用途は軍用、交通、通信、気象、地図作成など幅広い分野に及ぶ。誘導システム、通信システムなどの需要の高まりや国産衛星「北斗(Beidou)」の開発を背景に、BOCIは向こう数年間、衛星セクターが飛躍的進歩を遂げると予測している。

一方、高速鉄道分野では、中国はすでにグローバルリーダーの座にあり、「第12次5カ年計画」(2011-15年)にも国内の高速鉄道総延長を大幅に伸ばす方針が盛り込まれた。こうした政策方針は鉄道設備製造セクターのビジネスチャンスを大幅に拡大させる可能性が高い。

オフショアエンジニアリングは深海油田開発の基盤であり、この分野の発展は陸上資源の不足を補い、輸入依存度の軽減にもつながる。中国はオフショア油田の探査・掘削を強化する方針であり、こうした政策下で関連設備の需要が拡大する見込み。また、世界市場における中国のシェア拡大や技術的なアップグレードを促進する見通しとなった。

スマート設備製造部門は中国が国際競争力を強化する上で、大きな鍵を握ると目されている。BOCIによれば、スマート設備は航空、衛星、鉄道、オフショアエンジニアリング、さらにその他の精密設備製造に幅広く適用される点で、ハイエンド設備セクター全体の発展を支える基軸。さらに生産ラインの自動化やロボット利用、その他ハイテク生産管理設備においても必要性が高く、スマート設備部門の発展がハイエンド設備セクター全体の成長を後押しするとみられている。